2017年08月26日

(過去記事の振り返り)ジョージ・ソロス、来たるべきアメリカの階級闘争を警告

SOTT パペットマスター
(過去記事の振り返り)ジョージ・ソロス、来たるべきアメリカの階級闘争を警告
https://sott.net/en240686
http://www.newsweek.com/george-soros-coming-us-class-war-64271


ジョン・アーリッジ
デイリー・ビースト/ニューズウィーク
2012年1月23日

(写真:オフィスのソロス)
c Jake Chessum for Newsweek

「私のこれまでのキャリアの中でも、最も深刻かつ困難な状況だ」。加えて、国際通貨基金(IMF)専務理事のクリスティーヌ・ラガルドもヨーロッパに対して緊急警告を発している。
http://www.thedailybeast.com/newsweek/2012/01/22/imf-head-christine-lagarde-exclusive-interview.html
http://www.newsweek.com/imf-head-christine-lagarde-exclusive-interview-64275

これは、ご存知、ジョージ・ソロスの言葉である。
http://www.thedailybeast.com/articles/2011/07/27/george-soros-hedge-fund-closes-why-wealth-men-work-into-old-age.html
彼は最強の投資家である ― 彼は未だに1日の取引で稼いだ額の記録保持者だ。1992年のポンド危機では、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%B3%E3%83%89%E5%8D%B1%E6%A9%9F
ポンドが24時間のうちに20%価値を下げ、イギリスは欧州為替相場メカニズム(ERM)を事実上離脱したが、この「暗黒の水曜日」にソロスはポンドを売って10億ドルの利益を上げた。イギリス人が畏怖の念と不快感を込めて、彼を「イングランド銀行を潰した男」と呼ぶのも不思議ではない。

ソロスは小さな賭けはしない。市場での投資に留まらず、彼は東欧諸国における政治的自由の推進その他の大義のために、巨額の私費を提供している。
http://www.thedailybeast.com/articles/2011/06/30/uranium-smuggling-arrests-in-moldova-revive-security-debate.html
2004年のアメリカ大統領選挙では、ジョージ・W・ブッシュの再選に反対する陣営に支援を行ったため、こんにちに至っても彼は右翼から嫌われたままである。それでは、世界経済フォーラムに出席するために、今年もスイスのダボスに、ソロスや世界を動かしている人々が集まろうとしている今、これら経済のギャンブラーたちが賭けている、世界最高の勝負とは何だろうか?

ソロスは賭けていない。当年81歳になるソロスが、彼の60年のキャリアにおいて初めて、どうしたらいいか分からないと認めたのだ。「好況だった数年間にもダメージを負ったことを考えると、どうするのが正しいか知るのはまことに難しい」。彼は自分のポートフォリオについて論じないだろう。ひと儲けしようと説得していると思われないためだ。だが彼をよく知っている人々なら、安定した企業の優良株を選択して長期間保持し、「究極のバブル」である金は避け、そして、大事なのは現金を手元に置いておくことだ、とソロスが勧めるのを知っている。

彼は、かつてダメになった通貨を見抜いたことのある男ならするであろうことすらしていない:ユーロやドルまで売って、価値を下落させてしまうことだ。その反対だ。彼は苦境に立っているユーロを支援し、ヨーロッパ各国の指導者に対して、ユーロが生き残れるよう手を尽くすべきだと、公然と訴えている。「ユーロは生き残らなくてはならない。というのも、それが崩壊してしまったら、ヨーロッパも、世界も耐えられないようなメルトダウンが起こるだろうからだ」。ソロスは、ヨーロッパ各国の国債を約20億ドル分購入したが、大部分はイタリア国債で、昨年10月に倒産した、元ゴールドマン・サックス会長のジョン・コーザインが率いる証券会社MFグローバルからだった。

「空売り王」は態度を軟化させたのか?そうなのだ。ニューヨーク7番街に立つ摩天楼の 33階にあるオフィスで、ダボス会議に参加する旅の準備をしている彼は、このまま金持ちで在り続けられるかよりも、生き延びられるかの方が心配だという。
http://news21c.blog.fc2.com/blog-entry-885.html?sp
「こんな時代は生き延びることが最も重要だ」と、フクロウのような眼鏡越しにこちらを見て、額にかかった白髪の束をかき上げながら、ソロスは語る。自分の資産を守るべき時だと言っているのではない。災難を未然に防ぐべき時だというのだ。彼の観方によると、世界は今、現代史の中でも最も危うい時期 ― 「邪悪な」時期 ― に直面している。ヨーロッパはカオスと紛争への下り坂に差し掛かっている。アメリカでは街中で暴動が起き、それが政府による過酷な取り締まりを招いて、市民の自由が劇的に制限される、と彼は予見している。世界の経済システムが完全に破綻するかも知れないのだ。


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「私がこれから話すのは、人に勇気を与えるような話ではない。こんにちの状況は、私のこれまでのキャリアの中でも、最も深刻かつ困難なものだ」とソロスはニューズウィークに語った。「我々は 1930年代の大恐慌に多くの点で匹敵するような、極めて困難な時代を迎えつつある。先進諸国では目下、全体的に財政削減が行われているが、これによってさらに10年は停滞が続くか、もっと悪くなる恐れがある。最善のシナリオは、デフレの進行だ。最悪のシナリオだと、金融制度が崩壊するだろう」
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ソロスの警告は、市場の好不況についての彼の本能的直観のみならず、彼の類まれな個人的経験にも基づいているのだ。「私は遥かにずっと危機的な状況を生き延びてきた。だからこの観方は感情的でもあり、同じくらい理性的でもある」と彼は認める。1944年3月、ソロスがまだ13歳の時、彼の祖国ハンガリーはナチスの兵士に侵略され占領された。それから僅か8週間のうちに、約50万人居たハンガリーのユダヤ人は国外に追放され、多くはアウシュビッツに送られた。彼はユダヤ人や、彼らを助けたキリスト教徒の死体を見た。死体は街灯柱からぶら下げられて揺れ、頭蓋骨は割れていた。彼は父ティヴォドアのお蔭で生き延びた。父親は家族のために、何とか偽の身分証を入手したのである。その後彼は、ロシア軍がナチスを追い払うのを見た。新たな全体主義イデオロギーである共産主義が、ファシズムに取って代った。戦後、ソ連の占領下で生活が一層厳しくなる中、初めはロンドン、次にニューヨークへと、ソロスは何とか移住することができた。

ソロスが自身の過去を引き合いに出したのは、共産主義の終焉と同じくらいに、世界経済は深刻な危機を迎えつつあり、予断を許さないと論じるためだった。「ソビエト体制が崩壊したのは、かなり類まれな出来事であり、先進諸国に居る我々はこんにち、何が起こっているのか完全に分からないまま、似たような経験をしている」。ソロスにとって、市場の効率性という信条 ― 市場は合理的であり、災難を避けられるよう統制可能であるという考え ― の誤りがアッと言うほど暴かれることは、「政治システムとしてのマルキシズムの崩壊に喩えることができる。自由市場について広く行われている解釈は、実に誤解を招くものであることが判明した。そのような解釈は市場に関する完全な知識を前提とするが、それは現実と全くかけ離れている。我々は、問題をきちんと理解するために、理性の時代から可謬性の時代へと移行する必要がある」

理解することが重要だと彼は言う。「無制限の競争は、本来なら後悔するような行動に人々を駆り立てることがある。こんにちの我々の状況が悲劇的なのは、理解が不完全なせいで意図しない結果が生じていることだ。世界にはびこる悪の多くは、実は意図的なものではない。金融制度の運営に携わる多くの人々は、意図せずして数多くのダメージを与えている」。それでもソロスは、かつての東欧圏諸国が、金融界の悪がもたらすものと政治的に格闘していたのと全く同じように、西側諸国がそれに対処しようと奮闘していると信じている。経済の崩壊を惹き起こしている金融の専門家たちは、単に間違っているだけでなく、邪悪であると、彼はそう言うのだろうか?「その通りだ」。これは聞き捨てならない。米ゴールドマン・サックス・グループのCEOであるロイド・ブランクフェインは、金融危機の真っただ中に、英紙サンデー・タイムズに対して、自分は「神の仕事をしている」1人のバンカーにすぎないと語っていたではないか。
http://blog.goo.ne.jp/kohay/e/4d530aeb850e9bd2f98f77425f46608f

多くの人々にとって、ソロスが説く世界の「悪」とは富のことである。結局、ソロスという投資家は、市場は(彼の場合は、1人の投資家であるが)、主権国家の政府よりも強力であるという、今や大いに嘲笑されている考え方を実証した ― それによって巨万の富を得た ― のである。彼はイングランド銀行を潰し、経済に長けているという保守党の評判を台無しにし、たった1日で、イギリスの消費者がポケットの中に持っていたポンドの価値を1/5に下げた。通貨投機家であるソロスは、「不必要、非生産的、不道徳」と非難されてきた。マレーシアのマハティール・モハマド元首相は、かつてソロスを「犯罪者」、「ごろつき」呼ばわりした。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%8F%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%93%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%A2%E3%83%8F%E3%83%9E%E3%83%89

アメリカの右翼は、ジョージ・W・ブッシュを再選させないよう扇動し、911後の「テロとの戦い」を「有害だ」と述べたソロスを未だに許していないが、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%BB%E3%82%BD%E3%83%AD%E3%82%B9#.E3.82.BD.E3.83.AD.E3.82.B9_vs._.E3.83.96.E3.83.83.E3.82.B7.E3.83.A5
街中で暴動が起きるだろう ― ソロス曰く「それは既に始まっている」 ― という彼の予言は、ビル・オライリーがかつて彼を「極左の過激な爆弾男」と呼んだように、新たな批判の火種になりそうだ。批判者たちは「オキュパイ・ムーブメント(ウォール街占拠運動)」の火付け役であるカナダの雑誌アドバスターズに資金提供を行うことで、ソロスは既に火をくべたと主張している。そんなことはない、とソロスは言う。

ソロスのふくいくたる香りに満ちた私生活もまた、彼が道を説くなんて、と多くの人々を嘲笑に駆り立てている。ソロスと長年交際してきたエイドリアナ・フェレール(28歳)は去年、マンハッタンのニューヨーク最高裁に訴えを起こした。ソロスが彼女にマンションを買うと2度約束したのに実行しないため、多大な精神的苦痛を負ったというのである。かつてブラジルで昼メロのスターだったフェレールによると、ソロスは彼女に与えると約束したマンションを別のガールフレンドに与えたという。彼女はまた、ソロスから暴行されたとも主張している。ソロスは「取るに足らない、法的根拠に欠けるもの」であり、「身に覚えのないことばかりで、明らかに金を搾り取ろうとするものだ」として、フェレールの主張を拒絶している。

様々な問題にも拘わらず、政治家/慈善家をもって自認するこの男はくじけてはいない。無秩序な市場で儲けてきた彼は、今では私たちをそこから救い出そうというのだ。ヨーロッパを例にとろう。彼は今では、次のように思っているのだ:「ユーロの無秩序的な崩壊があれば、数世紀にわたる混乱をヨーロッパにもたらしたような政治的紛争が再発する危険性が出てくる。国家主義の極端な情況は排外主義を生み、外国人や少数民族に対する排斥運動などに発展する。ヒトラーの時代には、それはユダヤ人が標的だった。今日では、ジプシーとかロマと言われる少数民族の人々やイスラム教徒の移民者が対象なのだ」
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=261370

2012年中にギリシャのデフォルトは「どちらかと言えばありそう」だと、ソロスは今週のダボス会議で、指導者たちに話すつもりだという。彼はヨーロッパ諸国の指導者たちを「問題を解決するのでなく、その場を治める」方法しか知らないのではないか、と言って非難するつもりなのだ。もし、ドイツのアンゲラ・メルケルやフランスのニコラ・サルコジが、欧州大陸の外に救いの手を見付けるという希望を捨てきれずに抱いているとしたら、彼女たちは間違っている。「私は最近、中国に行ってきたが、中国は EU を救うつもりはない」と彼は言う。悩みの種は多いものの、ユーロはギリギリでどうにか生き延びると彼は見ている。

2月初頭に新著『ソロスの警告 ユーロが世界経済を破壊する』(※藤井清美 (翻訳)、原題:ヨーロッパとアメリカにおける金融不安)を出す予定で、今はヨーロッパにフォーカスしているソロスだが、アメリカにおける経済的格差による社会の断絶も深まるだろうという主張もすぐに展開するつもりだという。彼は「オキュパイ・ムーブメント(ウォール街占拠運動)」に共感している。この運動は、資本主義に対する幻滅が広がっていると主張するが、彼もそう考えるからだ。株主や社債保有者よりも、もっぱら納税者の負担で銀行制度を救済することに対して、人々が「不満を抱き、怒る」のはもっともなことだと。

オキュパイ・ムーブメント(ウォール街占拠運動)は「未だ組織化されていない、リーダー不在の抗議運動だ」が、拡大するだろう。この運動は「従来の左翼が四半世紀の間アジェンダに取り上げ損なってきた問題をアジェンダに取り上げた」。ソロスは机の上にあった、政治ブログ『シンクプログレス』による分析に手を伸ばした。オキュパイ・ムーブメント(ウォール街占拠運動)によって、MSNBCやCNN、FOXニュースをはじめとする、大手ニュース局がどれだけ失業問題を取り上げるようになったかまとめたものだ。これによると、昨年7月のある週に、「負債」という言葉が、アメリカの大手TVニュース・ネットワークで、7000回使われた。10月になると、それは398回に減り、その一方で「占拠せよ」が1278回、「ウォールストリート」が2378回、「仕事」が2738回使われた。投資家がこの測定結果に目を付けない筈がなかった。

怒りが増大してくると、アメリカの街中で暴動が起こるのは当然だろう。「そうだとも」と、ソロスはほとんど愉快そうに言う。「騒乱に対する当局の反応が与えるダメージは、暴力自体よりも大きいかも知れない。法と秩序の維持を口実として、弾圧と力ずくの戦術がとられ、それが極端になると、圧政的な社会システムが到来するだろう。そこでは、個人の自由は制限され、アメリカは自由の伝統と訣別することになる」

アメリカの政情不安を警告する彼だが、政治家になる考えはないという。「党派戦略には関わりたくない。私が関与したブッシュ政権がアメリカをミスリードしたと感じたからだ。オバマの新政権はとても有望だと思ったが、幾らか失望させられた。今後も民主党を支援し続けるが、彼らの駄目な点も良く知っている」。ソロスは、オバマはまだ今年の選挙で再選される可能性があると見ている。「オバマは民衆をびっくりさせるかもしれない。選挙での主な争点は富裕層に対する税をもっとかけるかどうかだ。オバマにとって、それをやることは困難ではないはずだ」

2012年の世界に微かな望みがあるとしたら、それは新興成長市場だとソロスは考えている。中東じゅうに広まった民主的革新運動や、アフリカにおける民主主義の台頭と経済成長、ロシアにすら改革の動きがある。これらが世界を窮地から救うかも知れない。「先進諸国が重大な危機に直面する一方で、発展途上諸国の未来の見通しはとても明るい。『開かれた社会』を願う人々の気持にはとても勇気づけられる。選挙権を与えられたアフリカの人々は、投票するために何時間も列に並ぶ。独裁者は倒されてきた。自由と成長のための実に明るい材料だ」

2012年に破局を免れるカギは、2011年の危機を無駄にしないことだ、とソロスは主張する。「危険な時期には、不可能が可能になる。EUが栄光を取り戻すかも知れない。アメリカという国家が実に過酷な試練を乗り越えて、その統治機構が強化されることを望んでいる」。今週ダボスに集まる中央銀行の総裁や首相たちが、馳せ参じるに当たって、するべきことをし、彼の方が間違っているのだと証明するかも知れない、という望みもすっかり捨ててはいない。彼にとって、今度ばかりは、間違っている方が幸せなのだ。
posted by たカシー at 11:26| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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