2017年02月11日

ティエリー・メイサン「トランプは従来述べてきた通りの方向に進んでいる。反トランプの反応は戦争宣伝だ」

SOTT パペットマスター


ティエリー・メイサン「トランプは従来述べてきた通りの方向に進んでいる。反トランプの反応は戦争宣伝だ」
https://sott.net/en341874


ティエリー・メイサン(訳:ピート・キンバリー)
ヴォルテール・ネットワーク
2017年2月7日

c Martin Schoeller para Time
(写真キャプション)
タイム誌「今年の人」に写真が掲載された

トランプ大統領に関して我がヴォルテール・ネットワークが前回載せた記事に対して、一部の読者からは激しい反発の声が寄せられた。そのいくつかは、汎大西洋主義メディアが警告を発し、ネガティブな兆候が積み重なっているのもかかわらず、ティエリー・メイサンは事態を甘く見ているのではないか、というものだった。以下に彼の返答を掲げる。いつもながら理路整然としたものだ。


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トランプの大統領就任から2週間になるが、汎大西洋主義メディアは彼に関するディスインフォメーションと扇動記事を載せ続けている。トランプと彼の新任閣僚たちは声明と意志表示を増やして行っているが、それらは相矛盾するように見え、ワシントンで何が起こりつつあるのか理解するのが難しくなっている。


反トランプ・キャンペーン

以下の4大テーマの扱いから、汎大西洋主義メディアが不誠実であることは証明可能である。

1. オバマケアの廃棄開始に関して(1月20日)
汎大西洋主義メディアでのアナウンスとは反対に、オバマケアによって利益を受ける筈の恵まれない階層の人々が、集団でこれを敬遠していたことを報じなくてはならない。この「社会保障」策は蓋を開けてみれば魅力的と言うにはあまりに負担が高過ぎ、制約が多過ぎるのだ。真の満足を得るのは、このシステムでもやって行ける企業だけである。

2. メキシコ国境の壁の延長に関して(1月23日-25日)
本件に関しては、何ら外国人嫌悪的な面はない ― 「安全柵法」に署名したのはジョージ・W・ブッシュ大統領であり、彼が構築を始めたのだ。この仕事は、当時のメキシコ政府の支持の下、バラク・オバマ大統領によって続けられた。「壁か架け橋か」という呼び方のおしゃれさよりも、
https://www.buzzfeed.com/bfjapannews/starbucks-says-human-rights-in-america-are-under-attack-1?utm_term=.jj1wnKwo#.puDdQkdK
国境強化システムが機能するためには、両国当局が運用面で合意していることが不可欠である。一方でも反対していれば、失敗に終わるものである。アメリカとしては、移民の入国をコントロールできる利益があるし、一方、メキシコとしては、武器の輸入を阻止できる利益がある。この点は何ら変わっていない。しかしながら、北米自由貿易協定(NAFTA)が適用されたため、多国籍企業は、(マルクス主義にいわゆる「利潤率の傾向的低下の法則(TRPF)」に従って)、地域性のない仕事だけでなく、地域性のある仕事も、地域性を取り除いてアメリカからメキシコへと移し、薄給の労働者によって行われるようにした(「不当なダンピング」)。このような仕事の出現は、農民の大規模な離村を惹き起こし、まるで19世紀にヨーロッパで起こったような破壊を、メキシコ社会にもたらした。その後、多国籍企業は賃金を引き下げ、メキシコ国民の一部を貧困に追いやった ― この人々はアメリカによって正当な賃金が支払われるのを夢見るばかりだ。というのも、ドナルド・トランプはNAFTAを破棄したい意向を表明しているので、近年のうちに物事が正常な状態に戻って、メキシコもアメリカも満足がいくようになるだろうからだ。[原注1]

3. 人工妊娠中絶に関して(1月23日)
トランプ大統領は、海外から資金援助を受けている、専門的なNGOへの連邦助成金の支出を禁じた。この措置によって彼は、これら特定のNGOに対して、困窮している女性を助けるという社会的目標を選ぶか、それとも、21日にワシントンで行われた「ウイメンズ・マーチ(女性大行進)」がそうだったように、ジョージ・ソロスに雇われてトランプに対する示威行動を起こすか、いずれかを選ばねばならないと警告したのである。ということであるから、本件は人工妊娠中絶とは関係がなく、「カラー革命」の防止策なのである。

4. 入国禁止令に関して(1月25日-27日)
ドナルド・トランプは、オバマ政権時代から受け継いだ法律を適用すると宣言した。すなわち、1100万人に上る不法滞在外国人を国外退去させるというものだ。彼は、この法律の適用を拒否すると公表した都市に対する助成金を停止した ― そんなことを宣言したら、どこから掃除婦を連れて来ればいいのか?という訳だ。手始めに彼は、不法入国者の中でも、アメリカやメキシコ、その他の国で刑事訴訟の被告となっている80万人の犯罪者を退去対象に指定した。これに加えて、テロリストがやって来るのを防ぐために、国籍や状況が確認できない国々からのアメリカへの入国許可を停止し、3か月間入国禁止としたのである。彼は自分でそのような国々をリストアップした訳でなく、オバマ大統領時代の法律を準用したのだ。例えば、ここシリアには、
http://www.voltairenet.org/article195196.html
もはやアメリカの大使館も領事館も存在しない。よって、行政警察の見地からすれば、シリア人をこのリストに載せるのは理に適っている。だが、これによって影響を受ける可能性があるのは、最小限の人々だけである。2015年にアメリカのグリーンカード(永住ビザ)を手に入れることができたシリア人は145人に留まる。特殊なケースが数多く発生しうることを意識して、大統領令では国務省と国土安全保障省に禁止を免除する自由を認めている。本法を容赦なく適用したトランプ大統領に反対する公務員が大統領令の適用を妨害したからといって、大統領が人種差別主義者やイスラム教嫌いだということにはなるまい。

このように、汎大西洋主義メディアが指揮する反ドナルド・トランプ・キャンペーンは、根拠のないものである。彼がイスラム教徒との戦争を始めたように見せかけたり、彼が窮しているとか暗殺される可能性を連想させる記事を公にすることは、もはや単なる不誠実では済まされない ― これは戦争宣伝だ。

https://www.youtube.com/watch?v=0fE1wxdgdpk


ドナルド・トランプの目標

ドナルド・トランプは、911の公式見解に世界で最初に異議を唱えた人物である。それは当日テレビで行われた。ツインタワーを建てた技術者が今は自分のところで働いていると述べた後、彼はニューヨークの9チャンネルで、ツインタワーの鉄骨構造を突き破るのは、ボーイング機には不可能だと断言した。続けて彼は、ボーイング機ではツインタワーの倒壊もあり得ないと語ったのである。結論として彼は、我々には未だ気付いていない他の要因があるに違いないと請け合った。

この日からドナルド・トランプは、この犯罪を犯した人々に対する抵抗を止めていない。就任演説の中で彼は、これは2つの政権の間での統治権の移行ではなく、16年に亘って統治権を奪われていたアメリカ国民への統治権の返還であると述べた。[原注2]

大統領選挙運動の間にも、政権移行期間中にも、さらには就任後も彼は、過去の年月における帝国主義体制は決してアメリカ国民の利益にはならなかったのであり、クリントン夫人が象徴する小グループに利益をもたらしただけだと繰り返し述べていた。彼は、アメリカはもはや、「一番」になろうとするのではなく、「最高」を目指すのだと宣言した。彼のスローガンは、「アメリカを再び偉大にする」であり、「アメリカファースト」なのだ。

この180度の政治的転換は、過去16年以上に亘って導入されてきた体制を揺るがすものである。この体制のルーツは、1947年の冷戦時代に遡る。当時はアメリカだけが望んだものだった。この体制は壊死したが、NATO(イェンス・ストルテンベルグとカーティス・スカパロッティ司令官)、EU(フェデリカ・モゲリーニ)、そして、国際連合(ジェフリー・フェルトマン)のような数多くの国際機関という残滓を残した。[原注3]

もしドナルド・トランプが目標を達成するとしても、それには数年掛かるだろう。


アメリカ帝国の平和的解体に向かって

2週間の間に沢山のことが始まったが、それらはしばしば偉大な決定によるものだった。トランプ大統領と彼の政権チームによる、響き渡る宣言は、恣に混乱を拡げる結果ともなったが、それによって彼は、一部に敵意ある議員が存在するにもかかわらず、彼の協力者たちの指名が承認されるのを確実にすることができた。

これは、ワシントンで始動したばかりの2つの体制の間の決死の戦いであることを我々は理解しなくてはならない。汎大西洋主義メディアがしばしば相矛盾するコメントや辻褄の合わない声明に対して、あれこれコメントし、独自の見方を行うのは放っておこう。

何はさておき、ドナルド・トランプは安全機構に対する彼のコントロールを確実なものとした。彼が最初に指名した3人の将軍たち(国家安全保障問題担当大統領補佐官マイケル・フリン、国防長官ジェームズ・マティス、国土安全保障長官ジョン・ケリー)は、2003年以来、「政府の継続性」と戦ってきた人たちである。[原注4] 次に彼は国家安全保障会議(NSC)を改革し、常任メンバーから統合参謀本部議長とCIA長官を外した。[原注5]

後者の命令はおそらく見直されるだろうが、未だそれは行われていない。
http://jp.reuters.com/article/usa-trump-cabinet-spies-idJPKBN15O047
ちなみに、ドナルド・トランプとフリン将軍が、国家情報長官のポストを廃止したい意向であると、私は以前述べた。[原注6] しかし、このポストは保たれ、ダン・コーツがそれに指名された。この結果、NSC改革の協議は、国家情報長官がNSCの中に居れば、CIA長官を外すことを十分正当化できるだろうと示す戦術だったことが明らかとなった。

「一番」という言葉を「最高」に置き換える結果、ロシアおよび中国と一時的に衝突するよりも、それらとパートナーシップを結ぶという方向に向かうことになる。

この政策を妨害するため、クリントン夫人とヌーランド夫人(=元国務次官補)の友人たちは、ドンバスへの攻撃を再開した。戦闘開始以来重大な損失を被った結果、ウクライナ軍は撤退し、前線にはネオナチの民兵を置くことにした。戦闘は人民の新たな共和国の住民から多くの犠牲者を出した。同時に中近東では、オバマ政権の計画通り、シリア戦線に戦車を投入しクルド人に砲撃を加えることができた。

ウクライナ紛争を解決するために、ドナルド・トランプはペトロ・ポロシェンコ大統領を追い出すのを手伝う方法を探しているところだ。それで彼は、ポロシェンコ大統領からの電話を受ける前に、野党の指導者であるユーリヤ・ティモシェンコとホワイトハウスで会ったのだ。

ドナルド・トランプの報道官は否定しているものの、シリアとイラクで彼は、ロシアと共通の作戦を既に開始している。軽率にもこれを明かにしてしまったロシアの国防相は、この件に関して発言するのを止めた。

北京に関して言えば、トランプ大統領は環太平洋連携協定(TPP) ― 中国を抑制するために構想された条約 ― から離脱した。政権移行期間中に彼は、アリババの創業者で、中国で2番目に裕福な男であるジャック・マーに会っている(「他の国々が米国の雇用を盗んでいるわけではない。米国の戦略のせいだ。(戦争にカネを使い過ぎ)適切な形で資金を配分しなかった米国が悪いのだ」
http://jp.wsj.com/articles/SB10852398588237353609804582582451394187724
と確言したビジネスマンである)。彼らが議論の中で、ワシントンがアジアインフラ投資銀行(AIIB)を支持する可能性に触れたことは、既にご紹介した通りである。もしそういうことになれば、アメリカは中国を邪魔するどころか、協力に合意するだろう。両国が2つのシルクロード建設に参加すれば、ドンバスやシリアでの戦争は無意味になるだろう。

金融に関して言えば、トランプ大統領は、ドッド・フランク法の廃止に着手した。メガバンクを残酷にも破綻させることを避ける(「大き過ぎてつぶせない」)ことで、2008年の金融危機を解決しようとした法律である。この法律にはポジティブな面も幾つかあるが(2300ページもある)、財務省が銀行を保護監督するという部分は、明らかに銀行が発展する妨げとなるものだ。ドナルド・トランプは商業銀行と投資銀行との区別(グラス・スティーガル法)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%82%AC%E3%83%AB%E6%B3%95
を復活させる準備もしているようだ。

最後に、国際機関の浄化も始まっている。新任の国連大使であるニッキー・ヘイリーは、16の「平和維持」ミッションについて監査請求を行った。役に立たないと思われるものは終わらせたいと言明したのだ。国連憲章の考え方からすれば、このようなミッションの全ては例外なく監査を受けることになろう。実際、国連の創設者たちは、この種の軍隊派遣は予見していなかった(こんにちでは、男女合わせて10万人以上に上っている)。国連は国家間の紛争を防止し、あるいは解決するために作られたのだ(内戦は対象ではない)。両当事者が停戦協定を結んだ際、国連は協定が尊重されているか確認するために、監視員を派遣するのである。しかしそれとは反対に、これらの「平和維持」活動(PKO)は、国連安保理が解決策を押し付け、紛争の一方当事者が拒絶した場合に、この解決策の尊重を強制するのが狙いとなっている ― これでは実際のところ、植民地主義の継続である。

実際、このような軍隊が駐留しても紛争は長引く結果となる一方、居なくなったからといって何も変わらない。だから、イスラエル・レバノン国境に派遣されている国連レバノン暫定軍(UNIFIL)の兵員はレバノンの領土だけに駐留しており、イスラエルの軍事行動も、レバノンの抵抗組織による軍事行動も阻止しないのは、既に我々が何度も見た通りである。イスラエルのためにレバノンに対してスパイ活動を行うことだけがUNIFILの役割であり、このため紛争は長引いている。同様に、ゴラン高原の兵力引き離し地帯に派遣された国際連合兵力引き離し監視軍(UNDOF)の兵員は、アルカイダによって追い払われてしまったが、それでもイスラエルとシリアとの紛争状態には何の変化も起きていない。このシステムを終わらせることは、国連憲章の精神と字義に立ち返って、植民地という特権を否定し、世界平和を目指すことである。

メディアによる論争や、街頭デモ、政治家同士の対決の陰で、トランプ大統領は従来述べてきた通りの方向に進んでいる。

原注:
1. "Behind the bipartisan wall", by Manlio Dinucci, Translation Anoosha Boralessa, Il Manifesto (Italy), Voltaire Network, 28 January 2017.
http://www.voltairenet.org/article195093.html
2. "Donald Trump Inauguration Speech", by Donald Trump, Voltaire Network, 21 January 2017.
http://www.voltairenet.org/article194999.html
3. "Germany and the UNO against Syria", by Thierry Meyssan, Translation Pete Kimberley, Al-Watan (Syria), Voltaire Network, 28 January 2016.
http://www.voltairenet.org/article190102.html
4. "Trump - enough of 9/11!", by Thierry Meyssan, Translation Pete Kimberley, Voltaire Network, 24 January 2017.
http://www.voltairenet.org/article195017.html
5. "Donald Trump winds up "the" organization of US imperialism].]", by Thierry Meyssan, Translation Anoosha Boralessa, Voltaire Network, 31 January 2017.
http://www.voltairenet.org/article195148.html
6. "General Flynn's Proposals to Reform Intelligence", by Thierry Meyssan, Translation Anoosha Boralessa, Contralínea (Mexico), Voltaire Network, 1 December 2016.
http://www.voltairenet.org/article194312.html
posted by たカシー at 10:28| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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