2016年11月06日

薄氷踏むヒラリーにとどめ?FBI、クリントン夫妻にリッチの(意味深な)メッセージを贈る

SOTTフォーカス

薄氷踏むヒラリーにとどめ?FBI、クリントン夫妻にリッチの(意味深な)メッセージを贈る
https://sott.net/en332875


ニオール・ブラッドレー
ソット・ドットネット
2016年11月2日


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。。。情報を補完しなければ国民をミスリードすることになるだろう。
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(写真キャプション)
2000年11月の祝賀会で民主党の大口献金者であるデニス・リッチからサックスを贈られるクリントン夫妻


冒頭に引用したのは、米連邦捜査局(FBI)のジェームズ・コミー長官(がヒラリー・クリントン前国務長官(69)の私用メール問題に関する捜査の再開を議会報告することに決めた理由について、先週局内で説明した際=)の言葉だが、これはかつて司法関係者が行った中でも最大級の爆弾発言に違いない。彼は大統領選を「政治的に妨害した」と攻撃され、「プーチンに味方した」と非難されており、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は論説で、彼に「辞任」するよう求めた。
http://www.wsj.com/articles/resign-mr-comey-1477955914
その理由は ー 嘘ではない ー 「システムが不正操作されているというトランプ氏の毒づきにコミー氏が信ぴょう性を与えてしまった」からだとされている。

私も昨日載せた記事
https://www.sott.net/article/332719-Is-Clinton-finished-FBI-doubles-down-says-no-evidence-of-Trump-Putin-collusion
を補完してこう言いたい。すなわち、ワシントンではどうやら、実に巧妙かつ慎重に調整され、明確な詳細は秘密裏に展開するものと思われるものの、一種のクーデターが進行中のようなのだ。おそらくFBIは、ワシントンに居る政治家全員のスキャンダルネタを握っているのだろうが、そのほぼ全員が、他の全員の犯罪に関与しているがために、クリントン夫妻と共に誰をターゲットに選ぶか、FBIは極めて慎重になっているに違いない。

FBIが、ヒラリー陣営に対する(電子メール問題に続く=)次なる武器として、2001年に当時のビル・クリントン大統領が亡命中の相場師(=マーク・リッチ)に対して恩赦を行った件に関する129ページに及ぶ調査文書を突然公開することを選んだのも、どうやらそうした理由からだろう。
https://www.sott.net/article/332841-Clinton-campaign-questions-timing-of-FBI-Marc-Rich-pardon-records
これは単に米情報自由法(FOIA)に基づく情報公開請求に応じたものではあるが、偶然を装ってヒラリー陣営にさらなるとどめを刺すのが狙いとしか思えない。

こうしてついにFBIが反ヒラリーの捜査データ公開を行った結果、黙示的にヒラリーの清廉さは汚され、投票候補を決めていない、アメリカの平均的な投票人は、たとえ、このマーク・リッチというのが何者か知らなくても、ヒラリーに投票するのをためらうことになろう。だが、さらに深く探る気があり時間もある人々にとって、クリントン夫妻の権力の秘密の核心に迫り、彼女たちの権力を再び脅かしている、この人物の帯びる役割からして、マーク・リッチ事件は実に示唆に富む。


またしてもコミー

マーク・リッチ ― 本名、マーセル・デイビッド・リッチ ― は、多国籍に事業を展開していた(実際、彼は5つの国籍を持っていた)ユダヤ人億万長者の策略家だった。1980年代初頭に、米国が経済制裁を科していたイランとイスラエルとの原油取引の仲介活動を行った彼は、怒らせてはいけない人々の怒りを買ったようである。アメリカ政府は、史上最大の脱税犯として彼を起訴した。スイスに逃れていたため、リッチは欠席裁判で有罪となった。「1987年から1993年にかけて、リッチに対する刑事裁判を指揮していた」検事が、若き日のジェームズ・コミーだった。

クリントン政権の末期、リッチの妻デニスは、要するに、任期終了数時間前のクリントン大統領から恩赦を得るために、クリントン夫妻に対して数億円を支払ったのである。FBIは(他の数多くのビル・クリントンによる恩赦と共に)本件の調査に乗り出した。事件は2005年、無罪ということで落着したが、何とも意味深(rich)なことに、2003年に司法副長官に任命されたばかりだったジェームズ・コミーの最初の仕事の1つは、マーク・リッチに対してビル・クリントンが行った恩赦に関する調査を引き継ぐことだったのである!

(写真キャプション)
リッチに対する恩赦で得た資金で、2000年にニューヨーク州から上院議員選挙に出馬したヒラリー・クリントン。彼女の左肩越しに、ブルックリン出身の下院議員である、若き日のアンソニー・ウィーナー(=ヒラリーの側近であるフーマ・アベディンと最近離婚した。未成年とされる女性と性的に露骨な内容のテキストメッセージをやり取りしていたとして、FBIなどが初期捜査に着手している)の姿が見えることに注意。


コミーとクリントン夫妻とが対決した機会は、少なくとももう1度あった:1990年代のホワイトウォーター疑惑である。コミーは疑惑解明のために設けられた連邦上院特別委員会で副特別検察官を務めていた。ホワイトウォーター疑惑とは、クリントン夫妻が、ビジネス・パートナーだったジムとスーザンのマクドゥーガル夫妻と共に土地開発事業を手掛けていたホワイトウォーター不動産開発会社をめぐる土地開発詐欺疑惑である。アーカンソー州にあった同社は、1980年代に倒産している。このいかがわしい企業は、同じく不良債権を抱えて1980年代末に倒産した貯蓄金融機関マディソン・ギャランティーに対して支払われた公的な援助資金7300万ドルを、不正に政治資金などに流用したのだ。スーザン・マクドゥーガルは、検察の尋問に対して黙秘を通したために、18か月間服役した。この傲然とした姿勢のせいもあって、クリントン夫妻は起訴されなかったのだろう。

マーク・リッチはクリントン夫妻にとって、「恩赦販売の一見客」だったようだ。だが、おそらくそれだけではなかったのだろう:リッチはイスラエルのごろつき諜報部員と密接に連携していた ― 実際、リッチはイランに禁輸品の原油を輸出させようとして、同国にイスラエルの諜報部員が入り込む手引きを行ったと言われていた。クリントン政権から恩赦を受けた139人のうちの多くは、クリントン夫妻の過去と深く結びついていたのであり、その中には、ホワイトウォーター疑惑で罪をかぶった共犯者たちが居た。

クリントン夫妻は除いた、15名の面々が、ホワイトウォーター疑惑における40以上の犯罪で有罪判決を受けていた。そんな1人がクリントン元州知事の側近スティーブン・スミスで;資金の不正使用についての共謀で有罪となったが ― ビル・クリントンは彼に恩赦を与えた。ビル・クリントンがアーカンソー州知事だった時からのブレーンで、ローズ法律事務所でヒラリーのパートナーだった(そして、チェルシー・クリントンの実の父親であると噂される)ウェブスター・ハッベル;横領と詐欺で有罪 ― ビル・クリントンは彼に恩赦を与えた。それから、クリントン夫妻との直接のビジネス・パートナーだったマクドゥーガル夫妻;複数の重罪で有罪 ― ビル・クリントンはスーザン・マクドゥーガルに恩赦を与えた。ホワイトウォーター社の不動産ブローカーだったクリス・ウェイド;複数の不正融資で有罪 ― ビル・クリントンは彼に恩赦を与えた。最後が、共謀罪で有罪とされたロバート・パーマー ― ビル・クリントンは彼にも恩赦を与えた。

コミーは当時もクリントン夫妻を起訴しなかったとは言え、当時のファーストレディーに関して彼が発見した事実は、夫妻にとって身に覚えのあるものだ:
http://time.com/4276988/jim-comey-hillary-clinton/


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1996年、数か月の捜査の後、コミーは間違いなく幾つかの犯罪が行われたとの結論に達した:ヒラリー・クリントンは文書の不正操作に個人的に関わっており、捜査当局に立件されそうになったため、他の人々に捜査を妨害するよう指示した。なお悪いことに、彼女の行動は隠蔽のパターンに当てはまっていた;彼女と夫は、警察当局が捜査中だった他の2つの犯罪において自分たちが果たした役割を隠そうとしたのだ。総合的に考えると、ホワイトハウスの住人たちが行った文書破棄等の妨害行為は、「単にアグレッシブな弁護士業や政治的なナイーブさのせいとして済まされるものではない」との結論に、コミーと同僚の検察官たちは達したのだった。それは「計画的な職権濫用という、極めて不正なパターン」を示していたのだ。
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昨日FBIが公表したリッチ文書は、大半の内容が削除されていたものの、リッチに対する恩赦が正規の手順に従って行われなかったことを示唆しており、本件恩赦論争に多少の新たな知見を提供した。クリントン夫妻が過去にコミーと揉めた経緯を考えると、今回の「リーク」は、コミーが ― あるいは誰かが、コミーを通じて ―、「我々が君たちに権力を与えたのと同じように、それを取り上げることもできるのだ」という強烈なメッセージを送ったものとしか思えないのである。


ジェームズ・コミーとはどういう人物か?

コミーに関しては、他にも幾つか興味深い逸話があるので、ついでに述べておくとしよう。

コミー(現在55歳)は、2013年にFBI長官に起用された。聳え立つ、身長203cmという大男コミーは、2002年1月から2003年12月まで、ニューヨーク州南部地域担当の連邦検事だった。当時彼は、アメリカ史上最大の身分詐称犯の1人を起訴したほか、知名度の高い人々によるホワイトカラー犯罪を数多く手掛けたが、その幾つかは敗訴となり、あるいは控訴審で逆転無罪となった。これがウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の怒りを買ったようで、他紙のほぼ全てが、オバマ政権によるロバート・マラーFBI長官の後任人事(=コミーの就任)を称賛する中、同紙はコミーの業績を酷評していたのだ。
http://www.wsj.com/articles/SB10001424127887323728204578515650309268038
コミーはキャリア全般を通じて政治的に中立であり、公平な検察官との「定評」が一般的であるのとは全く対照的に、WSJは彼を「政治色の強いコミー氏」と呼び、「行き過ぎた起訴や誤認起訴の前歴がある」と述べているのだ。

「政治色の強い」コミー氏だって?当時、彼を「厄介者」扱いした人が誰か居たのだろうか?

2003年12月、ブッシュはコミーを司法副長官に指名した。1996年にサウジアラビアで起きたコバール・タワー・ビル爆破事件における、主席検事としてのコミーの働きに感銘したものらしい。司法副長官時代のコミーは、司法省ナンバー2の高官として、日々の職務を指揮していた。これは第1期ブッシュ政権期で、拷問や違法盗聴、不法な侵略戦争が発覚し、これらに関与していない政府高官など殆どいなかった頃だ。コミーはそんな僅かな人々の1人だった;彼はブッシュ政権が計画した大量盗聴計画に法的承認を与えようとしなかったために、報復として辞任するよう脅されていた。結局彼は辞任せず、ブッシュはどうやら、盗聴計画を変更してコミーを納得させたようだ。

コミーは、学生時代の自分は左翼だったと主張しているが、
http://nymag.com/nymetro/news/politics/n_9353/
FBIに入局するまでは、共和党員だった。確かに彼は、ダビャによる911後体制にピタリとはまり、テロリストとされる人々を、熱意を持って起訴して行った。
http://nymag.com/nymetro/news/politics/n_9353/index1.html

2005年8月、コミーは司法省も役人も辞めて、世界最大の兵器製造企業であるロッキード・マーチン社の法務顧問兼上席副社長に就任した。2010年には、世界最大級のヘッジファンドであるブリッジウォーターアソシエイツ社の法務顧問となった。2013年初頭に短期間、世界最大の金融機関であるHSBCホールディングスの役員を務めた後、2013年9月に彼はFBI長官として政府に戻ったのだが、米上院本会議において本件人事が承認された際の票決の内訳は、賛成93、反対1(反対票を投じたのは、共和党のランド・ポール議員のみ)だった。

このような経歴の持ち主であり、相応しい門戸が開かれた彼だからこそ、アメリカ体制派の上層部に職を得ることが出来 ― 少なくとも支持される ― のである。

ネット上の人物伝から少々:

ニューヨーク・マガジン、掲載日不詳:


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「ジムはチェスの名人なんだ」と、モニカ・ルインスキー騒動の時に司法副長官を務め、この仕事が持つ政治的な地雷としての効果を知っているエリック・ホルダーは語る。「彼は、『今日、自分が講じた措置によって、明日、どんなインパクトがあるだろうか?』と考えているだけではない。『今から1か月後、2か月後、そして6か月後にどんなインパクトがあるだろうか?』と考えているのだ」
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http://nymag.com/nymetro/news/politics/n_9353/index1.html


ブルームバーグ、2004年2月:


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今やワシントン入りしたコミーだが、既に法廷が恋しいそうである。それでも彼は、彼流の容赦ない正義を貫ける機会を楽しみに待っている。「私たちがワールドコム社の中枢に居た人々に対して有罪を申し立てた際の理由の1つは、企業国家アメリカの経済人たちに、『自分は単に指示に従っていただけだ』というのでは言い訳にならないということを確実に理解させたかったからだ」と彼は言う。
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http://www.bloomberg.com/news/articles/2004-02-22/mr-dot-comey-goes-to-washington


いずれコミーは、大統領選の年ならではの大変な圧力の中で、敏感な計器を監視するという状況に身を置いていると感じるのだろうか?彼が直面しようとしている政治的圧力は、ワールドコムやエンロンの強情な経営者たちが直面したものと同じくらい強烈であろう。

ここでの結論はどうやら、アメリカの「国家の内部における国家」が、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E5%AE%B6%E3%81%AE%E5%86%85%E9%83%A8%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E5%9B%BD%E5%AE%B6
ヒラリーは、壮大なダマしと実権に対する欲が嵩じた結果、彼女が夫と共に、自分達の「慈善団体」を通して長年に亘って構築してきたネットワークも相俟ち、「アメリカ合衆国の大統領(POTUS)」の職責を果たすには不適(危険すぎるという意味だ)である、という決断を下したらしいということだろう。それは結局のところ、大いに儀式的な役割が期待されている職なのだ。

生粋の大衆主義者である社会改良家が登場して政権を掌握しようとしたとき、アメリカの既成秩序は伝統的にこれを脅威と感じ、彼/彼女は、あの手この手で、迅速かつあっさりと中和され無害化されたものである。ヒラリー・クリントンの場合、彼女は大衆主義者でも社会改良家でもないが、その持つネットワーク、影響力、権力欲のせいで彼女は、既成秩序に対する同様な脅威となったのである。だがもし、アメリカの政治システム全体が堕落と依怙贔屓の悪臭ぷんぷんたる巣窟であることが暴かれるべきでないとするならば、彼女に対する扱いとしては、もっとずっと慎重なアプローチが必要だろう。
posted by たカシー at 15:34| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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