2013年10月27日

(パート1-1)SOTTフォーカス:21世紀の産業複合体 − ファシズムとコーポラティズムの総統TM ブランド

http://www.sott.net/article/262662-21st-Century-Industrial-Complexes-Part-1-Fascism-and-the-FuhrerTM-Brands-of-Corporatism
SOTTフォーカス:21世紀の産業複合体 − パート1:ファシズムとコーポラティズムの総統TM ブランド


リチャード・ソーヤー
ソット・ドットネット
2013年6月11日

不定期連載の1回目では、 立法府と世界有数の巨大産業との間における政治資金の癒着について探る。


---
ここアメリカにおけるファシズムの正体が何であり、どうして我々がそれと戦い、それを打破しなくてはならないか知るには、まず一番に、以下のことを知らねばならない。すなわち、我々が戦っている相手が何であり、ファシスト体制とは一体何を行い、誰が(今この瞬間のアメリカを含む)各国でファシズムに資金を提供し、バックアップしており、誰がこのような体制の下で国家を保有しているのか、 なぜ全てのファシスト国家の住民は、自国のファシズムを創設し/援助し/保有している人々や企業が信じられないくらいにガッポリ儲けられるよう、重労働/低賃金/生活水準の切り詰め/貧困/絶望に追いやられねばならないのかについてである。

ジョージ・セルデス
---
* Seldes, George; Seldes, Helen (1943). Facts and Fascism.
『事実とファシズム』(未邦訳)
New York: In Fact, Inc. Retrieved August 31, 2011.
Part 1 The Big Money and Big Profits in Fascism, CHAPTER II PROFITS IN FASCISM: GERMANY


(写真)コーポラティズム
コピーライトSott.net


歴史上、こんにち以上に企業のコングロマリットに対して無意識のうちに飼葉を与え、その無慈悲な成長を促している時代はない。それが、文明の進歩やこんにちの株式会社資本主義にとって不可欠な構成要素として、暗黙の裡に受け入れられ、支持すらされる姿は、1930年代イタリアおよびドイツにおけるファシズムの創始者たちにとっては夢のようだろう。価格が手頃な必需品やサービスを、増えつつある人口に供給する上で、巨大な営利企業が不可欠な存在かどうかについては論争がある一方、立法府の議員と世界有数の巨大産業との間における政治資金の癒着が弱まることなく続いていることが、こんにち人類が直面している最大の問題の1つであることは間違いない。その結果、圧倒的に巨大な規模の腐敗、拝金主義、縁者びいき、「モラル・ハザード」
http://en.wikipedia.org/wiki/Moral_hazard
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%A9%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%8F%E3%82%B6%E3%83%BC%E3%83%89
が生じてきた。それは裕福な少数のインサイダーに、うんざりするほどの繁栄をもたらしてきた一方、地球の住民の多数派は、経済格差や極端な貧困、文化の崩壊、環境的カタストロフ、汚染、病気、これらに伴う膨大な負の社会問題の犠牲となってきた。

多分、フランシス・フクヤマが言う通り、「自由市場」による資本主義は(私達の承知しているような)歴史の終わり
http://en.wikipedia.org/wiki/Francis_Fukuyama
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%B4%E5%8F%B2%E3%81%AE%E7%B5%82%E3%82%8F%E3%82%8A
の前触れなのだろう。その市場が、不正操作のせいで、何ら自由でないことを除いてだが。

もちろん、何ともフXXキングな状況である。ファシズムの定義の1つは、ベニート・ムッソリーニ(原注1)によるものだ:


---
ファシズムはより適切には、コーポラティズムと呼ばれるべきだろう。というのも、それは国家と企業の力の融合だからだ。
---
原注1:1930年から1943年の間、イタリア国家ファシスト党の指導者。また、40万以上のイタリア人の死に責任があり、ファシズムを生み出した主要人物の1人。 参考文献:ジョイ・ハキム『私達の歴史:戦争、平和などなど』(未邦訳)
New York: Oxford University Press. ISBN0-19-509514-6.


(写真)
---
ファシズム
国家と企業の力の融合
― ムッソリーニ
---
コピーライト n/a


こんにちのアメリカと西洋「民主主義」におけるほど、国家と企業の利害の融合がおおっぴらに行われたことはなかった。政府と企業との間の不埒な協力関係は、個人的な利益のために富を吸い上げ、社会全体に等しく配分させない。いや、現実に目を向けよう:富は等しく配分されるどころか、実質賃金その他の社会-経済指標で見た分配率は、遅くとも1960年代には、徐々に悪化してきた。嘘くさい「トリクルダウン効果」の概念(=富める者が富めば、貧しい者にも自然に富が浸透(トリクルダウン)する)が、企業のグローバル展開の蔓延を正当化するために用いられるが、富をたっぷり得ている側にとっての「トリクルアップ効果」であると皮肉られるのはもっともであり、私達の生活水準は悪化している。コングロマリットが強力で潤沢な資金を持ったロビー団体を雇って、政治献金と政治的支援によって立法に影響を与える結果、法は私益のために好ましいものとなり、弱く ― しばしば故意に弱体化された ― 特別な監督に服する産業から搾取を行うのである。「産業複合体」という言葉は1961年1月17日に放送された、アメリカ大統領ドワイト・デーヴィッド・アイゼンハワーの国民への離任演説で用いられた結果、評判になり不滅のものとなった。(原注2) 彼が特に「軍産複合体」に言及したのは、アメリカ国民に対して、私企業と国軍とが閉鎖的かつ共生的な関係になることの危険性を警告するためだった。利害関係者からの見返り要求が幾何級数的に増大する中、利益第一の軍隊には、製品を売るための戦争が必要なのである。この結果、世界平和の行く手を遮る基本的な障害がもたらされることになったが、これはスメドリー・バトラーがいち早く見抜いた通りだった。
https://en.wikipedia.org/wiki/Smedley_Butler
http://peacephilosophy.blogspot.jp/2013/02/smedley-butler-war-is-racket-japanese.html
この「いかがわしい商売」
http://www.ratical.org/ratville/CAH/warisaracket.html
を偽装するため、マスコミのプロパガンダは架空の敵を非難して、納税者のお金が確実に国家の福祉を向上させるような事業から軍備増強計画へと成功裏に転用されるのに一役買ったのである。


原注2:1961年1月17日に放送された、ドワイト・デーヴィッド・アイゼンハワーの国民への離任演説の実際の言葉:


---
我々は,政府の委員会等において,それが意図されたものであろうとなかろうと,軍産複合体による不当な影響力の獲得を排除しなければなりません.誤って与えられた権力の出現がもたらすかも知れない悲劇の可能性は存在し,また存在し続けるでしょう.
この軍産複合体の影響力が,我々の自由や民主主義的プロセスを決して危険にさらすことのないようにせねばなりません.何ごとも確かなものは一つもありません.警戒心を持ち見識ある市民のみが,巨大な軍産マシーンを平和的な手段と目的に適合するように強いることができるのです.その結果として安全と自由とが共に維持され発展して行くでしょう.
---
全文と音声。
http://www.americanrhetoric.com/speeches/dwightdeisenhowerfarewell.html
(※邦訳出所:
http://www.inaco.co.jp/isaac/shiryo/Eisenhowers_Farewell_Address_to_the_Nation_January_17_1961.htm )
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=8y06NSBBRtY


この産業複合体という概念が、軍産複合体という最重要なビジネス活動を表わす言葉に使われる一方で、企業と政府の利益が合体する結果は、こんにち私達が殆ど全ての産業について、目にしている通りである。トタル
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%82%BF%E3%83%AB
http://www.nytimes.com/1996/12/16/opinion/doing-business-in-myanmar.html?pagewanted=1
のような巨大石油コングロマリットがパイプライン建設作業者に奴隷的な労働を強いたり
(※参考:フランス石油会社トタルがミャンマーのヤダナ・パイプライン建設に関わる訴訟で和解
http://www.hurights.or.jp/news/0512/b01.html
  フランスの石油会社トタルは強制労働に関わったとして02年フランスのナンテール地方裁判所において8人のミャンマー人に訴えられていましたが、11月に両者は和解に達したとプレスリリースを公表しました。
  ヤダナの天然ガスパイプライン建設の際にミャンマー軍などによる強制移住、強制労働などの甚大な人権侵害が行われていることが批判されていましたが、同社はその建設に投資し、推進していたことから、強制労働に関して責任を問われていました。プレスリリースによると、同社は強制労働への関与は否定する一方、原告を含め、強制労働が起こったとされる地域の住民に対して補償を行い、520万ユーロの連帯基金を設立することを決定しています。同社はベルギーの裁判所でも人道に対する罪で訴えられていましたが、05年4月、原告がミャンマーからの難民であり、ベルギー国籍を有していなかったため、管轄権がないとして訴えを退けていました。
  また、ヤダナ・パイプライン建設に関わる人権侵害について、米国のユノカル社は04年12月、住民に対して補償、および医療、教育などの整備の資金提供などを行う内容で原告と和解しています。)、
シェブロンがエクアドルで環境破壊を行ったり
http://www.csmonitor.com/World/Americas/2008/0409/p06s01-woam.html
(※参考:2013年 9月 19日 14:09 JST 国際裁判所、シェブロンへの環境破壊の集団訴訟退ける .
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324353404579084251815827952.html
 国際仲裁裁判所は18日、米シェブロン CVX +0.11% がエクアドルでの環境破壊の集団訴訟の対象にはならないとの判断を下した。

 エクアドルでの環境汚染問題を巡る訴訟は数十年前から続いている。当初の被告は米テキサコだったが、テキサコは2001年にシェブロンに買収された。11年の判決では、大量の石油を埋蔵しているジャングルを汚染した罰金としてシェブロンに190億ドルの支払いが命じられた。これは環境破壊の賠償金としては史上最高額だった。しかしシェブロンはこの支払いを拒み、この判決は合法的なものではないとしてニューヨーク連邦地裁に異議を申し立てた。

 国際仲裁裁判所はエクアドルと旧テキサコ・ペトロリアムとの間に、テキサコとその関連会社があらゆる公益に対するいかなる責任も問われず、環境破壊の集団訴訟の対象にもならない、という合意があったことを確認した。シェブロンによると、ラゴ・アグリオ原告団の弁護団は自らの主張が専ら集団的なもので、個人的なものではないことを何度も認めている。

 シェブロンのヒューイット・ペート副社長兼法務顧問は「上級の国際裁判所の判決により、原告団の主張がそもそも正しくなかったこと、原告団は最初からシェブロンに対する訴訟を起こすべきではなかったことが確認できた」とし、「米国の原告団の弁護士やエクアドル政府がこの間違った判決を執行させようとすることが、エクアドルや米国の法律、国際法に反していることが明白になった」と述べた。

 仲裁裁判所は1995年の和解と98年の最終的な免責協定の下でシェブロンとテキサコが「責任を免除」されており、シェブロンは被免除者として自らの権利を行使できるとし、エクアドル政府が第三者からの集団的な訴えを含む公益や環境破壊に対する集団訴訟の問題を解決していると判断した。

 これに先立ち、ハーグの仲裁委員会は、エクアドルはシェブロンとの争いを外国に持ち込まないよう原告団を説得すべきだったとした上で、なぜ政府がコスト負担を免れるのか正当な理由を説明する必要があると述べていた。

 エクアドルの裁判所は12年、シェブロンにはアマゾン地域の環境を破壊した責任があると判断したが、シェブロンはこの判決に異議を申し立てている。国際裁判所は原告団が海外の裁判所でシェブロンを提訴するのを阻止するようエクアドルに要求していた。しかし原告団はカナダやアルゼンチンを含む海外諸国でシェブロンの資産に対して訴訟を起こした。裁判所はこの動きをエクアドルの義務やこれまでの判決に反すると判断した。

 次の仲裁裁判所の審問は1月に予定されている。

 シェブロンは09年、エクアドルは米国とエクアドルの二国間投資協定、その他の投資協定、国際法の下での責任を果たしていないとして、国際仲裁裁判所に同国政府を提訴した。

 18日のシェブロン株終値は前日比1.48ドル(1.19%)高の125.82ドル。年初からは16%上昇している。)、
BPはメキシコ湾を破壊
http://www.sott.net/article/210728-Gulf-oil-spill-A-hole-in-the-world
(※上の記事の邦訳:メキシコ湾原油流出:世界にあいた穴
http://attaction.seesaa.net/article/154806903.html
ナオミ・クライン 2010年6月19日(土)付 ガーディアン紙
  
その市民集会に集まった人たちはみんな、BPや米政府からの紳士達に節度を持って振る舞うよう再三指示されていた。これらのお偉いさん達は忙しいスケジュールの合間をぬってわざわざルイジアナ州プラケマインズ教区の高校の体育館に火曜日の夜出向く時間を作ってくれたんだからというわけだ。プラケマインズ教区とは、かの茶色の毒が沼地をずるずると流れ突っ切っている湾岸部の多くの集落の一つで、米国史上最大の環境惨事と呼ばれるようになってしまったものの一部に当たる。

「他人に話しかける際には、自分がそう話しかけて欲しいと思うような、丁寧な話し方で話すように」と、会場からの質問を受け始める直前に、集会の司会が最後のダメ押しをした。

そしてしばらくの間、ほとんど漁民からなる集会参加者は、驚くべきほどの自制心を示した。彼らは愛想の良いBP渉外広報担当官のラリー・トーマスが、彼らの収益損失を補償しろとの訴えに応じようと「鋭意努力している」とだけ言って、そのあと、明らかにトーマス氏ほどにこやかでない下請け契約会社の担当者に詳細説明をまかせてしまうまでは、辛抱強く彼に耳を傾けていた。十分なテスト実験もしていない上にイギリスでは使用禁止になっている製品だと彼らの耳に入っている情報に反して、この下請け会社の人が、原油を覆うように大量に撒かれている原油分散化学薬剤がまったく安全だと知らせると、参加者たちは環境保護庁の役人の話を一言漏らさず聞き分けようと(静かに)していた。しかし海岸警備隊大佐のエド・スタントンが3度目に演台に立って、BPがちゃんと掃除をするのを見届けるつもりだから安心して下さいと言ったとき、参加者たちの忍耐が切れ始めた。
「書面にしろ」と誰かが叫んだ。このときまでにエアコンは止まってしまっており、バドワイザー提供の冷えたビールは、底をつき始めてきていた。マット・オブライアンというエビ漁師がマイクに近づき、「こんなことはこれ以上聞く必要はない」とけんか腰に言い放った。自分たちにどんな確約がされようと、「あんたらを信じられないから」、関係ないと言った。そしてその発言で、オイラーズ(不幸にもこの名前の付いているある学校のフットボールチームがある)が、タッチダウンで得点したのかと思うほどにおおきな歓声が開場からわき上がった。

その決定的対決は、少なくともカタルシス的効果を持った。何週間もの間、住民らは、ワシントン、ヒューストンそしてロンドンからの威勢の良い話と豪勢な約束の連発で押さえ込まれてきていたから。テレビをつければ、そのたびにBP社長のトニー・ヘイワードが、「事態を何とかします」という神妙な約束を繰りかえしていた。またはバラック・オバマが自分の政権が「メキシコ湾岸を、以前よりましな状態にしてみせる」とか、「この危機を乗り越えることで以前よりも強くなって国民の前に再登場する」とかいう絶対的な自信を披瀝しているのだった。

それらのどれも立派に聞こえた。しかし、自分たちの日々の暮らしが、あの湿地帯の微妙な化学反応に密接に結びついてしまっている人々にとっては、あの大言壮語は、まったくばかげて、痛々しい程にばかげて聞こえたのだ。原油がいったん沼の草の根っこを覆ってしまうと、ここから2〜3マイルのところで現にそうなってしまっているのだが、どんな奇跡的な機械や化学調合物をもってしても、その沼の草を元通りにすることはできないのだ。海水の表面から原油をかすめ取ったり、砂浜からすくいとることはできても、原油につかってしまった沼はそこでそのまま、死んでいくのを待つしかないのだ。沼地がその産卵場所になっているエビ、かに、牡蠣、そして魚など数え切れないほどの多種な生物の幼虫・幼魚が毒に侵されるのだ。

それは既に起きていた。その同じ日のタウンミーティングの前に、私は浅瀬用ボートに乗って近くの沼地を回ってみた。魚は、BPが原油を吸い込ませるために使っていた、分厚い綿切れと網からできている白い防油柵に囲われた海水の中で、飛び跳ねていた。汚れまみれの柵が作っている輪は、絞首索のように周りから魚たちを締め上げているようであった。近くには、赤い羽をしたハゴロモガラスが、原油で汚れた沼地の草の2メートル(7フィート)もある葉片のてっぺんに止まっていた。死がその葉柄をはい上がってきていた。その小さな鳥は、既に点火されたダイナマイトの棒のてっぺんにのっているようなものだった。

そしてさらにいえばそこには、その背の高い鋭い葉片をもつ草自身のこともある。この草はロゾウ・メダケと呼ばれているのだが。もし原油が湿地のかなり深いところまでしみこめば、地面に出ている部分だけでなく、それらの根まで、殺してしまうことになる。それらの根とは、沼地を鮮やかな緑にたもち、ミシシッピー川三角州そしていずれはメキシコ湾へ流れ出させないようしっかり支えているものである。だからプラケマインズ教区のような場所は、自分たちの漁場を失うだけでなく、ハリケーンのカトリーナのような猛烈な嵐の激しさを軽減する物理的障壁の多くをも失うことになるのだ。それは全てを失うことにつながりかねない。

これほどに破壊された生態系が、オバマ政権の内務省長官が実行すると誓ったように「回復し、まったく元通りにもどる」にはどれくらい時間がかかるのだろう。そんなことは遠い将来にも実現可能かどうかさえまったくわかっていない。少なくとも私たちの頭で考えつく時間枠の中では不可能だろう。アラスカの漁場は、1989年のエクソン・ヴァルデス原油流出以来、まだ完全には回復していないし、魚の種類によっては絶滅してしまっている。政府のかかえる科学者達は今、あのヴァルデス規模の原油が、4日に一度、メキシコ湾に流れ込んでいると試算している。1991年の湾岸戦争時の流出よりさらにひどい予測が浮かび上がってくる。当時ペルシャ湾に捨てられた量は11,000,000バレルで、いままでで最大量だといわれてきたのに。あの原油は沼地帯に入り込みそこに滞留し、かにが掘った穴のおかげでどんどん深く沈み込んでいった。全く同じ事を想定できるわけではないが、たいした除去が行われなかったため、惨事の12年後に行われた調査によれば、影響を受けた泥塩湿地とマングローブのほぼ90%はまだひどく痛みつけられたままであった。

私たちはこれだけは分かっている。メキシコ湾岸は、「全く元に戻る」どころか、まず確実に狭く縮められてしまうだろう。メキシコ湾の生き物にあふれた水と飛び交う生き物で騒がしい空は今日の活気を失うだろう。現在地図上で多くの集落が占めているスペースも、浸食のせいで縮小されていくだろう。そして湾岸の伝説的な文化もやせ細り、いずれしぼんでしまうだろう。湾岸沿いの漁師住民は、ただ食糧を採取しているということではないわけだから。彼らは一族の伝統、料理、音楽、美術、そして危機にさらされた言語などを複雑なネットワークにまとめ上げてきたわけだから。湿地の草の根が、湿地の存在を支えてきたように。漁業がなくなれば、これらのユニークな文化群は、それらが依拠している根底的枠組みを失ってしまう。(BPは、BPとして、回復の限界を十分承知している。会社のメキシコ湾地域原油流出対応計画は特に担当官達に「資産、自然環境あるいはその他のものでも、もとどおりに回復されるという約束」はしないよう指示されている。だから、担当官達が常に「善処します」というような庶民言葉をより好んで使うのだろう。)

もしカトリーナがアメリカの人種差別主義の現実に目を向けさせるためにカーテンを開けたとしたら、BP惨事はもっと隠されていたものを見せるためにカーテンを開けたといえる。我々の中でもっとも長けた人でさえ、私たちが日常的には何の気なしにかかわっている畏れ多い、複雑に絡み合った自然の諸力を制御する力など持ち得ないと言うことだ。BPはそれが地球に開けた穴をふさげないのだ。オバマをもってしても様々な種類の魚に生き残れとか、ブラウンペリカンに絶滅するなと命ずることはできない(彼がだれの尻をはたいてもである)。どんな額のお金をもってしても―BPが最近提示した20,000,000,000ドル(13,000.000.000ポンド)をもってしても、たとえ100,000,000,000ドルでも―根っこを失った文化を取り戻せない。そして政治家や企業のリーダー達がこの真実を受け入れるようになるまでの間に、空気、水、生活の手段が汚染されてしまった人々は、さっさと幻想を捨てようとしている。

「何もかもが死に瀕している」と、市民集会がついに終わりに近づいたとき、口を切った一人の女性は次のように続けた。「どうして私たちの湾が再生可能で元に戻るなんて真顔でいえるの?ここに来ているあなた方のひとりとして私たちの湾に何が起こるか知らないからよ。だから、あなた方は悪びれない顔をしてここに座り、何も知らないのに知っているようにしゃべれるんだわ」と。

この湾岸危機はいろんな事を巡る問題である―汚職、規制緩和、化石燃料への病的依存などの。しかしこれら全ての下層部においては、それは次のような事を巡る問題なのである:自然を根本的に操作・加工しても私たちを支えている自然の有機的構造の犠牲を最小限にとどめることができるぐらい自然を完全に理解し制御できるという私たちの文化の恐ろしく危険な主張だ。しかし、BP惨事が明らかにしたように、自然はいつももっとも洗練された数学的・地学的モデルが想像しうるものよりずっと予測不可能なのである。木曜日の議会証言で、ヘイワードはこう発言した:「この危機に対応するために最高の頭脳と極められた専門的技術を持ち込んでいる。平和時に1ケ所にこれ程の技術的有能さを備えた大きなチームが編成されることは、1960年代の宇宙開発計画を除いては考えがたい」と。ところが、地質学者ジル・シュナイダーマンがいみじくも“パンドラの井戸”と描写したものを目の前にして、彼らはあの体育館の前の方に陣取っていた男達のようである:分かっているように振る舞っているが、彼らは分かっていないのだ。


BP綱領

人間の歴史が描く弧の中で、自然が人間の意志のもとに加工することのできる機械であるという考えは比較的最近の思い上がりである。1980年に出た革新的な本である『自然の死』の中で、環境歴史学者のキャロライン・マーチャントは、1600年代まで地球は、だいたいは母親の姿をして生きていた、と述べる。ヨーロッパ人は、世界中の先住民族同様、この惑星が生命を生み出す力だけでなく怒りにみちた気質もそなえた生命体だと信じていた。このこと故に、鉱山採掘も含めて“母親”を変形させたり汚したりする行為に対しては強いタブーがあった。

この隠喩は、1600年代の科学革命の間に、自然の不思議のいくつか(決して全部ではない)の解明とともに、変わった。今や神秘も聖性もはぎ取られた機械として見なされる自然を、人間は何の責めを負うことなく、その構成物をせき止めたり、抽出したり、改造したりできるようになった。自然はまだ時々女性のように立ち現れるが、簡単に支配・従属させられるものである。フランシス・ベーコンが1623年の『科学の威厳と進歩について』の中で自然は閉じこめられ、改造され、人間の芸術と人間の手によってまるで新しいもののように作り替えられると書いた時、彼は当時の新しいエトスをもっとも的確にとらえていた。

あのフランシス・ベーコンの言葉は、BPの企業使命声明であってもおかしくない。大胆にも“エネルギーの最前線”と自称するものに陣取って、メタンを生成する微生物の合成に手を出し、調査探求の新しい領域は地質工学になるだろうと発表した。そしてもちろんメキシコ湾のテベレ・プロスペクトで、原油・ガス産業によって掘られたもっとも深い井戸を、ジェット機が頭上を飛ぶように海底深く沈んだものを手に入れたと自慢気に語った。

生命と地質を構成する積み木を改造するこれらの実験がうまくいかなかったら起きるであろう事を想像しそれに備える事は、企業の想像力の中では、占める余地がほとんどないのだ。4月20日に、ディープウォーター・ホライゾン基地の索具が破裂した後、私たちが全面的に知り得たように、会社にはこのシナリオに効果的に対応するシステムの準備がなかった。最終的には失敗に終わったが海岸で発動されるべく待ち受けていた包囲用ドームさえなぜ準備していなかったのかを説明した際に、BPスポークスマンのスティーヴ・ラインハルトは「誰も今我々が直面しているような事態を予測できたとは思えない」と言った。そもそも破裂防止装置がうまく働かなくなるなどと言うことは“考えられないように思えた、”だからなぜそんな準備をする必要があるのかということだったらしい。

失敗を考えることの拒否は明らかにトップから直接きた。1年前スタンフォード大学で、学部の学生たちの一団に自分の机には次のような座右の銘版が置いてあると紹介している:「絶対失敗はあり得ないと確信していたら、なにを試すのか」。無邪気でひらめきを誘うようなスローガンからはほど遠く、これはBPやその競争相手たちが現実の世界で振る舞ったその振る舞い方を正確に言い当てているものだった。米国議会の最近の公聴会の中でマサチュッセツ州選出のエド・マーキー議員は世界のトップ石油・ガス会社からの代表らを、資材をどのように配分しているかが明らかになるような仕方で、かなりゴリゴリと追求した。3年間に亘って、彼らは新しい石油とガスの探索には、39,000,000,000ドルつぎ込んでおきながら、安全と事故防止と流出対応の研究・開発には年平均わずか20,000,000ドルしか投資していなかった。

これらの優先順位はなぜ、あの不幸をもたらしたディープウォーター・ホライゾン油井に対してBPが米政府に提出した最初の探索計画が人間の不遜を題材にしたギリシャ悲劇のように読めてしまうのかを説明するのにたいへん役に立つ。「ほとんどリスクがない」という表現が5回登場する。たとえ流出があっても、検証済みの設備と技術のおかげで、有害な作用は最低限に押さえ込めると自信を持って予測している。その報告者は、自然を予測可能で親和的な準パートナー(あるいは下請け契約会社)であるかのようにみせ、万が一流出が起きれば、「海流と微生物による分解が、水層から原油を除去するか、原油構成物質を基本濃度までに薄めるだろう」と呑気な説明をしている。一方魚への影響は、成魚や甲殻類には「流出物を避けて炭化水素を新陳代謝する能力」があるので、「致死的なものにはならないだろう」と。(BPの言い方だと、流出は、とてつもない恐怖というよりは海水生物のための「全部食べれるビュッフェ」のように見えてくる)

もっとも幸いなことは、大きな流出が起きても、会社が予測する迅速な対応(!)と、索具から海岸までの距離―約48マイル(77キロメートル)ゆえに、海岸線への接触や影響の危険性はほとんどない、ということのようだ。これは彼らの主張の中でももっとも驚くべきものだ。ハリケーン襲来の可能性を持ち出さなくても、毎時70キロ以上の風に見舞われるのが珍しくない湾において、BPは、原油がたった77キロの旅をする可能性があることすら思いつかない程、海洋が持つ、ひいたり、流れたり、満ちたりする能力に敬意を払わずにきたのだ。(先週、ディープウォーター・ホライゾンが306キロ離れたフロリダの砂浜に姿を現した。)

この無責任ないい加減さのどれ一つとっても、もしBPが自然は本当に制御されたと信じたがっていた政治集団にその予測をしていたのでなければ、起きなくてすんだものだ。共和党議員のリサ・ムルコウスキーのような何人かがとくにそう信じたがっていた。あのアラスカ選出の上院議員は、石油産業の4面体人工地震画像化に恐れおののくほどに圧倒され、深海掘削が制御された人工性の極みに到達したと宣言するほどだった。「工業技術を携えて何千年も昔の資源を探しに行ける、しかも環境汚染のない方法で、という意味ではディズニーランドよりもっと良い」とたった7ヶ月前に上院エネルギー委員会で語っていた。

考えることをせずに掘削するという手法はもちろん2008年5月以来の共和党の政策であった。ガス価格の未曾有の跳ね上がりにともなって、保守派のリーダーであるヌート・ギングリッチが、“ここ掘れ、今掘れ、払いを減らせ“と今を強調したのがこのときだった。大騒ぎで人々を巻き込んだキャンペーンは「慎重さ・研究・測られた行動」に反対する叫びであった。ギングリッチの言うことには、ガスや石油があるかもしれないところではどこでも―ロッキー山脈の泥版岩、北極国立野生保護区、沖合の深海などに閉じこめられていると思われるが―地元で掘削することが、同時にガソリンスタンドでの値段を下げ、仕事を増やし、アラブ諸国の鼻をあかしてやることになるのだった。この3つの勝利を前にしたら、環境のことを気にするのは、臆病者とされた。ミッチ・マッコンエル上院議員が言ったように:「アラバマ州、ミッシシッピー州、ルイジアナ州、そしてテキサス州では人々が原油掘削装置はきれいだと思っている」。悪名高き“掘れ、おまえ、掘れ”共和党全国大会が動き始めた頃までには、共和党本部は、もし誰かが十分大きい掘削機を持ち込んできていたら、大会会場の床下を掘り始めたであろうと思われるほど、合衆国産化石燃料を求めて沸きに沸いていた。

オバマは、結局、屈してしまった。そのほかのことでもことごとくそうであるように。ディープウォーター・ホライゾンが爆発する3ヶ月前に、最大級の悪いタイミングで、大統領はそれまで保護されてきた国内の地域を沖合掘削に解禁することを表明した。その作業は彼が考えていたほど危険を伴うものではなかったと説明した。「今日の原油掘削装置は一般的には流出を起こさない。技術的にたいへん進歩しているから」と。しかしそんな説明では、サラ・ペイリンを満足させられなかった。彼女は地域によっては掘削前にもっと研究・調査を行うというオバマ政権の計画をあざ笑った。「まあまあ、みなさん、これらの地域はもう死ぬほど調査されましたよ」とあの破裂の11日前に、ニューオーリーンズの南部共和党幹部会議で語った。「さあ掘りましょう。あんた、さあ掘りましょう。止めないで、あんた、やめないで!」と。そして大いに盛り上がったのだった。

議会での証人尋問で、ヘイワードは言った:「私たちと石油・ガス産業全体がこのおそろしい出来事から学ぶことになる」と。そしてこのような大規模の惨事はBP幹部と“今掘れ”群衆に一つの新しい恥じ入る気持ちを植え付けたと想像するのがふつうであろう。しかしながら、そうだという痕跡が見あたらないのだ。この惨事への反応は、企業と政府のレベルでは、そもそもこの惨事をひきおこしたのと同じあの傲慢とひどく明るい見通しの類に満ちていた。

海洋は広大だから、それを受けとめられると、最初の何日間かヘイワードが言うのを聞いた。一方ジョン・カリー報道官は腹を空かせた微生物が水系の中にある油分はどんなものでも食べてくれる、なぜなら「自然は事態を好転させる仕組みをそなえている」からと強調した。しかし自然は協力してくれていない。深海噴油井はBPのすべての山高帽のような蓋、封じ込め用ドーム、そして噴入されたゴムなどを突き破った。原油を吸い取るためにBPが広く並べた軽量の防油柵を大洋の風と海流が笑いものにした。「我々は彼らに言ったんだよ。原油は防油柵を越えていくか防油柵の底の下を流れて行くって」とルイジアナ州牡蠣協会の代表バイロン・エンカラーデが言った。確かにそのとおりになった。この原油掃除を綿密に追ってきていた海洋生物学者のリック・シュタイナーは、防油柵の70%か80%はまったく何の役にも立っていないと概算している。

そしてそれからあの議論になっている原油分散化学薬剤がある:1,300,000ギャロン以上が、BPのトレードマークの「何事もうまくいかないはずがない」的態度で、投与された。プラケマインズ教区の市民集会で怒っていた住民がいみじくも指摘したように、大した数のテスト実験もせずに、この前例のない大量の分散された原油が海洋生物にどんな影響を及ぼすかについてほとんど調査もない。急速に増殖していく微生物は確かに水面下の原油を飲み込むが、その過程で水中の酸素も吸収し、海洋生物に全く新たな脅威をもたらす。

BPは無謀にも原油に覆われた浜辺の有り難くないイメージを食い止め、鳥が惨事の現場周辺から逃げて行くのも食い止められるとさえ想像していた。テレビクルーと海に出ていた時、例えば、別のボートに近づかれ、「あんたらみんなBPの仕事をしてるの?」と訊かれた。そうでないと言うと,公海なのに、「じゃあ、あんたらはここにいられないよ」と返された。しかしもちろんこれらの不器用で強圧的な手法は、彼らのその他の手法同様、失敗したわけだが。もうあまりにもたくさんの場所に大量の原油が散らばってしまったから(どうあがいてもダメなのだ)。「神の空気にどこへ流れろ、どこへ行けと言えないように、海水にもどこへ流れろ、どこへ行けとは言えない」とデブラ・ラミレズが語った。それはルイジアナ州のモスヴィルに住んで、放射物を吐き出している14もの石油化学工場に囲まれ、病気が隣人から隣人へと広がって行くのを見てきた彼女が学んだ教訓だった。

人間の限界というものがこの惨劇の不変項であった。二ヶ月経った今でもどれだけの原油が流れているのか、あるいはいつ止まるのか我々には分からない。8月末までにリリーフ油井を完成させるというBPの主張は、大統領執務室からオバマによっても何度も繰り返されているが、多くの科学者からはハッタリだと見られている。その作業方法は危なっかしく、失敗しかねないし、原油が何年もの間漏れ続ける可能性も大なのだ。

否認の流れの方も収まる兆しがない。ルイジアナ州の政治家達は、深海掘削一時凍結というオバマ判断に憤然と反対している。漁業と観光業が危機に晒された今、唯一残っている大きな産業をつぶすつもりかとオバマを責めている。ペイリンは、フェイスブックで、「どんな人間の努力もリスクなしにはあり得ない」と黙想に耽っているし、テキサス選出議員ジョン・カルバーソンはこの惨事を“統計的異例(変則)”だと名づけた。しかしながら、この傾向の極みともいえるもっと社会病質的反応がワシントンのベテラン・コメンテイターであるレウェリン・キングから発せられた:大きな技術的リスクから目を背けるのではなく、「地球の地下の蓋を開けてしまえるような素晴らしい機械を作ることができたことに大いに驚嘆するべくちょっと立ち止まるべきではないだろうか」と。


出血を止まらせろ

うれしいことに、多くの人がこの惨事から全く違った教訓を受け取っている。自然を改造できる人間の力に驚嘆して立ち止まっているのではなく、私たちが勝手に蓋をはずして放出させた強烈な自然の力に太刀打ちできない人間の非力にである。さらにこんな事もある。それは海洋の底にあいた穴は工業技術事故あるいは機械の破損にとどまらないという感じ方だ。それは生体に生じた強烈な傷である:すなわちその傷が私たちの一部なのだということだ。そしてBPの生映像配信のおかげで、我々は皆地球の内臓が噴出するのを一日24時間リアルタイムで観ることができる。

水管理人同盟所属の環境保護主義者であるジョン・ウェイサンは、この惨事の直後の何日間か流出の上を飛んだ数少ない独立的立場の観察者だった。沿岸警備隊員が礼を尽くして“虹色の光沢物”と呼んだ原油の赤く分厚い縞模様を映像に収めたあと、彼は、多くの人が感じたかもしれないと思えることを観た:「メキシコ湾は血を流しているように見えた」と。この比喩的表現はいくつもの会話やインタビューで繰り返し登場する。ニューオーリーンズの環境権弁護士であるモニック・ハーデンは、この惨事を“原油流出”と呼ぶことを拒否し、「私たちは出血している」と言う。人によっては「出血をとめる」必要を語る。そして私個人的には、連邦沿岸警備隊員と共にディープウォーター・ホライゾン油井が沈んだあたりの海洋の一体の上空を飛んだとき、波の中に原油が作り出している渦巻きが、驚くほど洞窟の壁画に似て見えた:それは羽のようにふわふわした肺が空気を求めてあえぎ、目が上方を凝視する、大昔の鳥。深部からのメッセージだった。

そしてこれこそがこの湾岸物語のもっとも不思議なねじれ(意外な展開)なのだ:この物語は地球がけっして機械ではなかったのだという現実に私たちを目覚めさせようとしている。死んだと宣言された400年後、しかもこんなにも多くの死の真っ直中で、地球は生き返ってきている。

生態系の中を突っ切っての原油の進行を追うという経験は、地中深部の生態学の猛スピード学習コースのようなものだ。毎日私たちは世界のある孤立した地域の恐ろしい問題であるように見えたものが、実際には私たちが想像もできなかった形でいかに放射・拡大していくかを学ぶ。ある日私たちは原油がキューバ、そしてさらにはヨーロッパへたどり着く可能性があることを学ぶ。次に私たちは大西洋をずっと北上したカナダのプリンスエドワード島で漁師達が、自分たちが沖合で捕獲するクロマグロが何千マイルも離れた原油で汚染された湾岸の海水中で生まれていることを心配していると聞く。そして私たちは次のようなことも学ぶ。鳥にとっては、湾岸湿地帯が、だれもが中継地としているらしいにぎやかなハブ空港に相当することを。渡り鳥である110種もの鳴鳥やアメリカ水鳥の75%にとって。

理解しがたいカオス論者がブラジルで羽を羽ばたかせているチョウチョがテキサスで竜巻を起こしうるなどと言うのを耳にするのと、カオス論そのものが目の前で展開されるのを観るのとでは大違いだ。キャロライン・マーチャントはそのレッスンを次のように説明する:「BPが悲惨にもまた遅まきながら発見したように、問題は活性勢力としての自然は制御できないということだ」と。生態系の中においては予測可能な結果は特異なのであって、「予測不可能なカオス的出来事こそが普通」なのだ。そしてまだ解せない場合を考えて付言すると、2〜3日前、稲妻が感嘆符のようにBPの船を直撃し、その原油包囲努力を中断させたのだ。ハリケーンがBPの有毒混合物に何をするかは言うまでもない。

この惨事による啓発への独特な回路について特異的なねじれ現象があることを強調しておかなければならない。アメリカ人が諸外国がどこにあるかを知るのはそれらの国を爆撃してからだと人は言う。今回私たちは皆、自然に毒を盛って初めて、自然の循環器系について学んでいるようだ。

1990年代後半、コロンビアの孤立した先住民族集団が、ほぼアヴァター的対立で、ニュースのトップを飾った。すなわちウワは、アンデスの雲上の森の中の遙か彼方の地から、もしオクシデンタル・ペトローリアムが彼らの領土の原油を掘削する計画を実行に移したら崖から飛び降りる儀式的集団自殺を決行すると知らしめたのだ。彼らの長老達は、原油は彼らのルイリア、すなわち“母なる地球の血”の一部だと説明した。彼らは自分たちも含めて全ての生命が、ルイリアから流れ出ているので、原油を取り出すことは生命の破壊をもたらすと信じている。(オクシデンタル・ペトローリアムは、以前に予測していたほど原油が存在していなかったと言って、やがてその地域から撤退していった)

ほぼすべての先住民族は、かの科学革命前のヨーロッパ文化がそうであったように、岩、山、氷河、森などの自然界に住む神々や精霊たちについての神話を持っている。コンコルディア大学の人類学者であるカチャ・ニーヴィスは、儀式的慣習は実利的な目的にかなっていると指摘する。地球を「聖なる」と呼ぶことは、我々が完全には理解できない諸勢力を前にして、謙虚な気持ちを表現する別な仕方なのだ。何かが「聖神」だとなると、それは我々に、慎重にいけと言っているわけだ。恐れさえも抱けと。

もし私たちがこのレッスンをやっとのことで吸収したら、意味するところのものは奥深くなりうる。さらなる沖合掘削への世論の支持は急激に落ちて来ている。“今掘れ”騒ぎの頂点から22%まで。しかし問題はまだ片づいていない。オバマ政権が今や精巧な新技術と厳しい新規制のおかげで北極海の中でも深海掘削が全く安全になったと発表するのも時間の問題だ。北極海では、氷の下の掃除は今進行中の湾岸での掃除よりとてつもなく遥かに複雑になるだろうに。もっとも、北極海の話が出る場合は、そう簡単に安心させられないし、数少ない保護されている楽園でそんなにすぐギャンブルすることはないだろう。

地質工学についても同じことが言える。気候変動交渉が長引く間にオバマ政権の科学のためのエネルギー副長官であるスティーブン・クーニン博士からもっといろいろ聞かされる覚悟をしていなければならない。彼は気候変動には大気中に硫黄塩やアルミの粒子を放つというような工学的トリックで対処できる、しかも全て、ディズニーランドのようにまったく安全だという考えの主導的な提唱者の一人である。さらに彼はBPの前主任科学官であり、たったの15ヶ月前まで、BPの安全だと言われていた深海掘削の推進を背後から支える工学技術をまだ管理監督していたのだ。多分今回は、この善良なる博士が地球の物理と化学で勝手な実験をするようなまねはさせないという選択肢を採って、我々の消費を削減し、失敗しても小さな失敗ですむという徳を備えた再生可能なエネルギーに切り替えていくという方向を選ぶだろう。米国人コメディアンのビル・マハールが言ったように「海の中へ風車が崩れ落ちたら何が起こるかみなさんご存じでしょう。パシャですよね。」

この惨事から得られたもっとも前向きな産物は、風のような再生可能なエネルギー源利用の加速だけでなく、科学に於ける用心・警戒・予防の原則の完全なる承認である。ヘイワードの“失敗しようがないと分かっているんだったら”信条の真逆をいく用心・警戒・予防の原則は、ある行為が自然環境か人間の健康に害を及ぼす恐れが出てきたら、失敗もあり得る、いや多分失敗するだろうと想定して、慎重に進める事を是とする。もしかしてヘイワードには、補償のための小切手を切りながら沈思黙考できるように、彼の机用につぎのような座右の銘版を差し上げたらいいかも:人は知っているかのように振る舞うけど、実は知らないのだ。

ナオミ・クラインはアルジャジーラ英語テレビ主催のドキュメンタリー番組である「断層(断絶・分裂)」の映像班と一緒にメキシコ湾岸を訪れたのだった。彼女はその映画の顧問であった。)、
ディック・チェイニーのハリバートンは、彼が嬉々として指揮したイラク侵略に続く復興支援に関して、米国政府と何10億ドルもの契約を結んでいた
http://query.nytimes.com/gst/fullpage.html?res=9D03E3DE1631F93AA1575BC0A9639C8B63&sec=&spon=&pagewanted=all
(※参考:米国防省は秘密裡にハリバートン社にイラク石油産業運営を指名していた ジェーソン・レオポルド
http://www.jca.apc.org/~kmasuoka/places/halliburton.html
http://www.zcommunications.org/defense-dept-secretly-tapped-halilburton-unit-to-operate-iraqs-oil-industry-in-nov-by-jason-leopold.html
2003年5月16日
米軍がイラクに爆弾とミサイルの豪雨を降らし始める数カ月前に、米国防省は、秘密裡に、副大統領ディック・チェイニーの昔いた会社であるハリバートン社と共謀し、この、世界第二の石油サービス会社に対し、イラクの油田に関する全面的な統制権を与えることが検討されていたと、ハリバートンの最上級役員が、インタビューで語った。

さらに、先月入手された社内秘のハリバートン社文書は、イラク侵略が、サダム・フセイン大統領の政権を転覆するのと同じくらい、世界第二の石油資源を統制することが目的であったことを示している。

国防省と、ハリバートンの部門(※子会社)であるケロッグ・ブラウン&ルートとの間で交わされた、イラク石油産業を巡る商談は、ハリバートン社の内部文書によると、2002年10月の段階で始まっており、最終的には70億ドル相当になる。この商談は、ハリバートンにとって、この上なく良い時期に現れたものである。

昨2002年10月、ハリバートンは何十億ドルものアスベストの責任負担を科されており、国内の石油生産減少の打撃を被っていた。ハリバートンの株価はこの状況に敏感に反応し、その前年の22ドルから2002年10月の12.62ドルへと低下していた。ハリバートン社は破産申請をせざるを得ないという噂が渦巻き始めていたのである。

けれども、イラク侵略が切迫しているというニュースは、ハリバートンの財政危機を、サダム・フセイン政権と同様に、過去の歴史の中に押し込むこととなった。2002年11月の機密文書は、国防省は、米国陸軍工兵隊に対し、ブラウン&ルートに、「石油関係インフラの状況評価、石油漏れをはじめとする石油施設からの環境ダメージの浄化、ダメージを受けたインフラの施設設計・修復・再建、施設操業の補助、石油生産品の流通、イラク石油産業の操業再開のためのイラク人支援」に加えて、イラク油田火災の消火の契約を与えるよう勧告していた。

「国防省が、イラク石油インフラの修復を必要とし操業継続に備える可能性を計画していたという事実は、2003年3月まで機密扱いだった」とエージェンシーはそのウェブサイトで述べている。「このため、ビジネス界に対して、あるべき要求を認め広報するのが遅れた」。

陸軍工兵隊は、ブラウン&ルート社との取引に関する文書の一部を機密解除している。商談のメモは、http://www.hq.usace.army.mil/cepa/iraq/factsheet.htmで読むことができる。

イラク石油産業修復の契約をハリバートン社が受注した2002年10月以来、ハリバートン社の株価は2倍近くになった。2003年5月13日火曜日には、株価終値は23.90ドルだった。

米国議会が今年初頭に、ブラウン&ルート社に対して、チェイニーとの密接な関係が故に、非入札で契約を与えたことを批判したとき、エージェンシーは、ブラウン&ルートは、イラク油田の火を消す以外何もしないと述べた。陸軍工兵隊によると、ブラウン&ルートが選ばれたのは、連絡し次第すぐに「派遣」できるからであると言う。

けれども、ハリバートン社の重役たちとのインタビューによれば、ハリバートン社の社員が、昨2002年11月から、イラクの石油インフラ評価とイラク石油産業の操業計画を検討するために、クウェート・シティのホテルで活動していた。

2003年4月に発行されたビジネス2.0誌は、この点を明らかにしている。

「ラップアラウンド・サングラスの黒曜石の鏡の後ろから、レイ・ロドンは、イラク南部ルマイラー油田の広大な砂漠の風景を検査していた。ハリバートン社の施設建設部門であるケロッグ・ブラウン&ルートのプロジェクト・マネージャであるロドンは、イラク石油産業の修復という圧倒的な仕事の準備のために数カ月を費やしていた。まず米国テキサス州ヒューストンの本部で働いた後、クウェート・シティのホテルを拠点に働いていたレイ・ロドンは、イラク国営石油産業の込み入った事情を勉強し、国営石油会社の組織図を検討さえしていた。ハリバートン社と米軍が、信頼できるイラク人技師は誰で、誰がサダムに忠実な人々であるか確認するために」と記事は述べている。

3月のニュース・リリースで、ハリバートン社は、イラク石油インフラの修復で最初に仕事を始めたのは、国防省の要請によるものだったと述べている。

「国防省は、米軍兵站文民統合プログラム(LOGCAP)IIIによるケロッグ・ブラウン&ルートとの契約を通して、2002年11月に、不測事態対応計画を作成するよう指名された。計画の実行は、ケロッグ・ブラウン&ルートが現在米国陸軍工兵隊とのあいだで交わした別途契約を通して行われる」とニュース・リリースは述べる。

ハリバートンの数名の職員は、この政府からの利益の大きな契約を受けるにあたりチェイニーが何らかの役割を果たしているとは考えていない。むしろ、陸軍工兵隊は、ハリバートン社がチェイニーと関係があり、政府がお気に入りに仕事をやっているという議会の民主党議員からの批判があるために、わざと、イラクのインフラ修復におけるハリバートン社の役割を控えめに語っていると指摘する。

「ハリバートン社は1940年代から米国政府の仕事を受注している」と、文書を提供した匿名希望の役員は述べた。「けれども、ディック・チェイニー副大統領が、ハリバートンを運営していたため、誰もが自動的に、我々が現在受注する政府関係の仕事にはチェイニーが何か絡んでいるのではないかと考える」。

911以降、ハリバートンのブラウン&ルートは、いわゆる「対テロ戦争」で利益をあげた唯一の会社であった。

バルカン半島の米軍に家屋と食料、水、郵便、洗濯、重機材を提供する仕事の成果に基づき(この仕事でハリバートン社はこれまでに30億ドルの支払いを受けている)、同社は2001年12月に、世界中での米軍の作戦に対して同様の兵站提供を行う契約を、前例のない10年という契約期間で、2001年12月に交わした。

「ペンタゴンの兵站文民統合プログラムは、ハリバートンに、いわゆるコストプラス方式で発注を行っている。つまり、ケロッグ・ブラウン&ルート社は、契約条件が実行されさえすれば、原価費用が支払われることを保証されている上に、一定の利潤を得るようになっている。現在までに、ケロッグ・ブラウン&ルート社は、8億3000万ドルをこのプログラムの契約から受け取っている。同社はまた、トルコのインジルリク空軍基地[クルド人弾圧やイラン偵察、イスラエル軍によるトルコ軍の訓練などが行われるトルコの中心的な空軍基地の一つ]をはじめとする米軍施設の運営補助を行っており(今年9月に契約が切れる予定の当初契約は1億1800万ドル相当のものである)、アフガニスタンとウズベキスタンの軍基地支援契約では6500万ドルを受け取っている。さらに、キューバのグアンタナモ基地で、アルカイーダのメンバーであると疑われる人々に対する牢獄の建設で3300万ドルを受注している。全体で、2002年最後の3カ月だけで、ハリバートンの政府からの受注残高は40%拡大した」とビジネス2.0は伝えている。

ブラウン&ルート社に与えられた美味しい取引を巡って最も問題含みで、ヘンリー・ワクスマン(民主党・カリフォルニア州選出)のような議員が批判するのは、同社が、チェイニーがハリバートン社の社長だったときに、何度か、200万ドル相当の金額を政府からだまし取ったこと、そして、ハリバートン社が、米国が制裁を加えているにもかかわらず、イラクやイラン、リビアといった「テロリスト政権」と商売を行ってきた長い経験を持つことである[訳注:そもそも世界最大の暴力政権である米国政府から大規模な侵略・戦争・弾圧・国家テロ作戦の関係で大規模な受注をしている中で、何故、イラクやイラン、リビアといった米国政府がテロ政権と言うところとの商売だけが問題になるのか、ここの論理はよく分かりません]。

昨年、ケロッグ・ブラウン&ルート社は、米国政府に、チェイニーがハリバートン社の社長だったときに軍に負っている200万ドルを米国政府に支払うことで合意した。カリフォルニア州モンテレー近くにあった軍の施設フォート・オードの維持と修復の契約価格を水増ししたことで告発されていたのである。サクラメントで起こされた訴訟では、ケロッグ・ブラウン&ルート社は、1994年4月から1998年9月までの224件の発注に対し、偽りの請求を提出し、嘘の明細書を作成したとされている。ハリバートン社はまた、別の数件についての調査と訴訟を終わらせるために、調停金を払っている。

1978年、大陪審は、ケロッグ・ブラウン&ルート社を、海軍の建設に関する仕事で競争者と談合したとして起訴した。この件では、同社は100万ドルの罰金を支払った。1995年、米国政府は、リビアに対する禁輸措置を破ったとして、380万ドルの罰金を科した。その4年後、ハリバートンの子会社の一つが、米国政府がイランとのビジネスを禁止しているにもかかわらず、イランに事務所を開設した。2001年、ハリバートンの株主達は、ハリバートン社がビルマでパイプライン・プロジェクトを開始したことにつき、ビルマの人権侵害のために、経営陣を激しく非難した[しかし、米国では多数の軍関係プロジェクトを行っているのですが]。

2001年、監視グループは、チェイニーがハリバートンの子会社44社を海外の税から逃れられる場所に移したと批判した。

ハリバートンが、アゼルバイジャン、インドネシア、イラン、イラク、リビア、ナイジェリアという6カ国でビジネスを行っていることは、同社が、人権が尊重されない場所でも喜んでビジネスを行うことを示しており、これはビルマでのビジネスを超えるものである[相変わらず世界中で人権侵害を繰り返している米軍とのビジネスが何故最大の問題とされていないのか、不明です]。

では、疑わしい記録をもつハリバートン社が、なぜ、米国政府との間で、今回のイラクの場合のように、利益の多い契約を得ることができるのだろうか?

「ケロッグ・ブラウン&ルート社が選ばれたのは、同社が、複雑な緊急対応計画を、極めて直前の通達で遂行することができるからである」とハリバートン社は2003年3月のニュース・リリースで述べている。

政府がハリバートンの部門であるケロッグ・ブラウン&ルート社にイラク関係の仕事を発注していることについてワクスマン議員が批判しているにもかかわらず、イラクでの同社の役割はどんどん大きくなっているようである。そして、他社にも入札で機会を与える計画は既に破棄された問題であるようだ。

5月12日、米国陸軍工兵隊は、ケロッグ・ブラウン&ルート社に、新たに2400万ドルの契約を与えた。今回は、イラクでガソリンと料理用燃料を配る仕事である。

陸軍工兵隊は、5月4日にハリバートン社の子会社に対して与えられた配給の仕事は、同社との間で3月にかわされた、イラクでの消防サービス活動契約の一部であると述べた。

先週、米国陸軍工兵隊は、ハリバートンの子会社が、これまでに7500万ドルの発注を受けたと発表し、総額は6億ドルに達する可能性が高いと発表した。イラク攻撃前に予測されていた最悪のケースの70億ドルよりも遙かに少ない。

米国陸軍工兵隊の報道官キャロル・サンダースは、新たな発注は、元々の契約の中に含まれている事項であり、ハリバートン社がイラク石油産業の再建でさらに利益の大きな直接的役割を担っているとするワクスマンの批判は当たらないと述べた。

イラクの人々が国を再建し始めたので、人々には料理のための油とガソリンが危急に必要なのだ、と彼女は述べる。病気を予防するために水を沸かさなくてはならない必要性を考えると、その仕事を競争入札とするのは、妥当ではないと[12年間にわたり平然とイラクの子供たちを殺してきた人々が、突然人道主義に目覚めたのは、どうしてでしょう]。。

「我々は、物事をこのように進めることが出来るよう、契約を広義のものとした」と彼女は言う。

特に、サンダースは、ケロッグ・ブラウン&ルート社が、液化天然ガスとガソリンを地域の貯蔵センターに運んで、そこから、イラクの人々が配給を管理していると述べる。

ケロッグ・ブラウン&ルート社のウェンディ・ホールも、最新の契約はより広い契約の一部であると述べ、それは、「イラク石油インフラの操業の継続」を維持する目的のものだ、と述べている。 );
農業(種子・農薬)大手シンジェンタが、世界を除草剤で汚染
http://www.bizjournals.com/pacific/stories/2008/09/08/daily26.html?jst=m_ln_hl&surround=lfn
(※参考:米国:新研究で環境保護庁(EPA)の農薬(アトラジン)ルールに関する追加論争
 New Study Adds to Debate on E.P.A. Rules for Pesticide,The New York Times,6.2
http://www.juno.dti.ne.jp/tkitaba/headline/envi0206.htm
 米国内で最も広く使われている除草剤・アトラジンの新たな使用規則を策定中のEPAが、いくつかの激しい法的・科学的論争に巻き込まれている。2000年12月、EPAはアトラジンを発癌のリスクがありそうな農薬のリストから外したが、批判者の訴訟により、8月までに新たなルールを出すように裁判所に命じられている。しかし、人間の癌とカエルの奇形を引き起こすという最近の研究で、延期を余儀なくされそうである。アトラジンの主要メーカーであるスイスのシンジェンタは、カエルに関する研究(米国研究グループ、除草剤アトラジンの環境ホルモン作用を確認,02.4.17)について、自身の研究で論駁すると言い、EPAは慎重にすぎると批判しているが、環境保護グループはEPAが十分に慎重でないと逆の主張をしている。さらに、この化学物質に曝された工場労働者が前立腺癌にかかったと会社を訴えた。シンジェンタは、前立腺癌が多いのは検査を拡充したからにすぎず、発癌性はないというが、EPAの科学者は会社の研究には、特に労働者のアトラジンへの暴露に関するデータの欠如など、欠陥があるとしている。・・・

※参考:米国 燃料エタノール用GMトウモロコシを承認 混入恐れる食品企業や消費団体が猛反対
http://www.juno.dti.ne.jp/tkitaba/gmo/news/11021301.htm
米国農務省(USDA)が2月11日、バイオエタノール原料として開発された遺伝子組み換え(GM)トウモロコシの商業栽培を承認した。このトウモロコシはEnogenと呼ばれ、シンジェンタ社が開発した。これはトウモロコシのスターチを糖に分解する酵素を生産する微生物の遺伝子を含み、アルファ・アミラーゼと呼ばれる購入酵素をトウモロコシに加えてスターチを糖に変える現在のエタノール製造の第一工程を省略できる。

 シンジェンタ社は、このトウモロコシを使うことでエタノール産出が増え、同時に生産過程における水、エネルギー、化学物質の使用も減らすことができると主張する。USDAは、それはいかなる植物病害虫リスクも生み出さず、承認 のために必要な要件を満たしていると言う。これは食品として使われるものではないが、食べても安全なことは食品医薬局(FDA)が既に認めている。

 さらに、オーストラリア、カナダ、日本、ニュージーランド、フィリピン、ロシア、台湾は既に輸入を認め、カナダは栽培も承認しているという。

 USDA Announces Decision to Deregulate Genetically Engineered Corn,USDA-APHIS,,2.11
 Amylase Corn Deregulation, Q&As,USDA-APHIS,2.11
 Environmental Assessment,USDA-APHIS,,2.11
 USDA approves Corn Amylase Trait for EnogenTM,Syngenta,2.11
 http://www2.syngenta.com/en/media/mediareleases/en_110211.html

 しかし、この決定に、通常は遺伝子組み換え反対派ではない北米製粉業者協会(North American Millers’ Association、NAMA)が噛みついた。これは、ジェネラルミルズ、コナグラミルズ、ADMミリングなど巨大企業を含む43社で作る強力な業界団体だ。11日に出されたその声明は、このトウモロコシの他のトウモロコシとの混合を恐れ、次のように言う。

 「USDAは、食品生産汚染の経済的影響に関する十分な科学的データ、あるいはUSDAがシンジェンタの管理計画遵守をどう確保するかに関する情報を公衆に提供するのを怠った。シンジェンタのアミラーゼトウモロコシはトウモロコシのスターチを急速に分解する強力な酵素を含み、エタノール生産のコストを節減するが、もし食品加工の流れに入り込めば、エタノール生産を利する同じ働きが朝食のシリアル、スナック食品、ころもを付けた揚げ物などの食品の質を損なうことになる」。

 つまり、食品加工工程でのスターチの急速な分解は、製品の品質とパフォーマンスに重大な悪影響を及ぼすというのである。

 NAMA Disappointed with USDA Decision to Deregulate 3272 Amylase Corn,North American Millers' Association (NAMA),2.11
 http://www.namamillers.org/PR_Amylase_Corn_02_11_11.html

 シンジェンタは、このトウモロコシは海底の熱水噴出口近くに生息する微生物の遺伝子を含み、エタノール工場の温度、酸度、湿度で最も活性化し、スターチ、シロップ、チップを作る工場ではそれほどの活性はないと言う。また、このトウモロコシはエタノール工場の近くで作られ、農家はすべてエタノール工場に売るはずだ(から混入の恐れは少ない)、花粉による交雑や穀物エレベーターでの偶然の混入を防ぐ手立ても取られると言う。

 しかし、スターリンクの例を引くまでもなく、大規模商業栽培が始まれば、他のトウモロコシとの混合を完全に防ぐのはほとんど不可能だろう。シンジェンタによれば、今年は少数のエタノール工場周辺の農家が栽培するだけだが、2012年はもっと拡大する。いまや米国で生産するトウモロコシの40%がエタノール製造に使われる時代だ。いずれ、米国で生産されるトウモロコシの半分近くがこのGMトウモロコシということになるだろう。

 食品安全センターは、次のように言う。

 「シンジェンタのバイオ燃料トウモロコシは不可避的に食料用トウモロコシを汚染、わが国のトウモロコシ輸出市場での拒絶の引き金を引き、農家を傷つけるだろう。

 工業用トウモロコシは国内のエタノール工場でのみ使われると想定されているが、シンジェンタは米国が輸出する国での輸入承認を求めてきた。シンジェンタは、食料用トウモロコシの船荷が不可避的にこのトウモロコシに汚染されると知っているからだ」。

 食品安全センターは、アレルギー専門家は酵素のアレルゲンとしての評価は不適切としている、農学者は大量の酵素が土壌に残り、土壌の炭素循環に悪影響を及ぼす恐れがあると示唆しているなど、他の問題もあり得ることを指摘する。センターは、さらに、大量のトウモロコシのエタノールへの転換が食料価格をつり上げ、世界の飢餓を助長しているとき、燃料用トウモロコシをエンジニアするなど無責任だとも言う。

 センターは、USDAの決定の取り消しを求めて提訴するということだ。

 World’s First Genetically Engineered Biofuels Corn Threatens Contamination Of Food-Grade Corn,Center for Food Safety,2.11
 http://www.centerforfoodsafety.org/2011/02/11/worlds-first-genetically-engineered-biofuels-corn-threatens-contamination-of-food-grade-corn/ );
世界で最も非倫理的なコングロマリットの1つに選ばれたモンサントは、
http://www.huffingtonpost.com/2010/01/28/the-least-ethical-compani_n_440073.html?slidenumber=0ZHHXzV%2FaPE%3D&slideshow
真相を知った何百万人もの抗議者の願いに反して、農作物の遺伝子組み換えを行い続けている
http://www.sott.net/article/262192-March-Against-Monsanto-protests-attract-millions-worldwide
(※参考:モンサントのGMOキラー種子: 人の健康より利益優先
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2013/06/gmo-b9fe.html
Stephen Lendman Global Research

2013年5月26日

5月25日、世界中で、200万人以上の人々が反モンサント行進(March Against Monsant)をした。世界中の何十ヶ国で人々が行進した。彼らには当然の理由がある。彼らは消費者保護の立法を望んでいるのだ。彼らは食べて安全な食品を望んでいるのだ。彼らは政府にそれを保証させたいのだ。彼らはGMO<=genetically modified organism 遺伝子組み換え生物>食品や成分を品質表示させたいのだ。

“我々は一体なぜ行進するか?”という見出しの“反モンサント行進”(MAM)ページ

独立した研究は、GMO食品や成分が“癌腫瘍の発生や、不妊症や、出生異常等の深刻な健康状態”を引き起こすことを示している。

元モンサント幹部だった連中が食品医薬品局(FDA)を運営している。明白な利益相反が存在している。

2013年3月に成立したモンサント保護法には“裁判所が、モンサントの遺伝子組み換え種子の販売を差し止めることを禁止する”条項がある。

“余りに長期間、モンサントは企業助成金や政治的えこひいきの後援者であり続けている。”

“モンサントが、種子や、遺伝子構造に対する特許権を含む、世界の食品供給を巡る独占を構築し続ける中、有機栽培、小規模農家は損失を被っている。”

“モンサントのGM種子は環境に有害だ。例えば、科学者達は、それが世界中の蜂の蜂群崩壊症候群の要因となっていることを示している。”

反モンサント行進MAMは下記を主張している。
•自然食品の購入
•モンサントが所有する企業のボイコット
•モンサント保護法の悪い条項の廃止
•GMOのヒトの健康に対する影響についての、より独立した研究
•モンサント幹部と、共謀している政治家連中に責任をとらせる
•“モンサントの秘密”について、人々に周知
•“世界とモンサントに、我々は、こうした不正を黙って見過ごさないことを示すため街頭で抗議をする。”

“我々は縁故主義を我慢しない。我々は毒を我慢しない。だから我々はモンサント反対行進をする。”

1906年、アプトン・シンクレアの暴露小説“ジャングル”が大衆を目覚めさせた。小説は独占資本主義のゆきすぎ、労働者搾取、屠殺場や食肉加工工場の不衛生な慣習を暴露した。

ヒトの健康に有害な食品が製造されていたのだ。それを止めるため、何もされていなかった。そんなことは思いも寄らない消費者達はそれを食べていた。

ジャック・ロンドンは、シンクレアの本は“我が国は実際にはどういうものか、虐待と不正のメッカ、苦難の悪夢、苦労の猛火、人の地獄、野獣達のジャングルを描き出した”と語った。

セオドア・ルーズベルトが大統領だった。一般大衆の抗議は良い結果を得た。1906年、純正食品・薬品法が成立した。法律で完全な保護はできなかった。法律は最悪の虐待の一部を禁止するのに役立った。

過ぎし年の改革は消えてしまった。そうした法律はもはや存在しない。規制緩和がそうした法を無くした。利益だけが重要だ。アメリカ実業界は望むものを手に入れるのだ。アメリカ実業界が国を運営している。アグリビジネスや他の産業部門がアメリカ政府を占拠しているのだ。

連中が政策を決定している。彼らが法律を起草し、議会がそれを成立させる。普通の人々には発言権がない。政治家連中は易々と買収される。大衆の健康と環境の健全さは無視されている。大企業の強欲だけが重要なのだ。

大企業幹部連中が、食品医薬品局(FDA)、保健社会福祉省(DHS)、労働安全衛生監理局(OSHA)、環境保護局(EPA)や他の政府機関を動かしている。

アメリカの食糧供給が損なわれている。遺伝子組換え食品が蔓延している。遺伝子組換え食品は食べて安全ではない。遺伝子組換え食品はヒトの健康に悪い。独立した研究が、それを証明している。

モンサントは世界の主導的なGMO種子生産者だ。同社はヒトの健康を犠牲にして、儲けている。同社はあらゆる動物と植物の生命体の特許を取得しようとしている。同社は世界中の食物を支配しようとしている。

同社は内容表示を禁止したがっている。同社は信頼できる科学を覆い隠したがっている。同社は食品の安全問題は無視されて欲しいのだ。同社は消費者には発言権を持たせたくないのだ。

同社は批判する人々を沈黙させたがっている。同社はそういう人々の評判を落とそうとしてきた。同社はアメリカ政府内部に膨大な影響力を持っている。同社はやりたいようにやってきた。そういう時代はとうに終わっているはずだ。普通の人々はそう要求すべきだ。食品の安全は無視するには余りに重要だ。

『モンサントの不自然な食べもの』(日本語版映画のリンクはこちら)は論議の的となる同社の実績を列挙している。強力な映画だ。映画はこれまで販売された物の中で最も有毒な製品のいくつかを説明している。

モンサントの欺瞞、圧力、共謀や賄賂は、そうするための定番戦術だ。

秘密文書が暴露されている。実際の経験に基づく説明が提示されている。犠牲者、科学者、政治家等が、それぞれの経験を語っている。

この映画は、禁ずべき有害な製品を認めさせるよう各国政府を操る上で、なぜモンサントが、世界的シンボルなのかを説明してくれる。映画は大衆行動を促す警鐘だ。

モンサントの実績には、これまで製造された最も有害な製品のいくつかがある。そうしたものの中には、エージェント・オレンジ、DDT、牛の遺伝子組み換え型成長ホルモン、ポリ塩化ビフェニル(PCB)、アスパルテームとラウンドアップ除草剤等がある。

インスティテュート・フォー・リスポンシブル・テクノロジーのジェフリー・スミスは、モンサントの歴史は“欺瞞、欺瞞、欺瞞”だという。それゆえに同社は“信じることができない”と彼はいう。

後に公開された同社自身の文書が、モンサントは即座に、同社製品の多くがヒトの健康に有害であることを知っていたことを明らかにしている。ある同社メモはそうした製品の販売を正当化していた。“一ドルの商売さえ失うわけにはゆかない”とあった。

2011年12月、ナチュラル・ソサエティーは、モンサントを“2011年最悪の企業”と呼んだ。同社が“ヒトの健康と環境の両方を脅かす”ことによるものだ。

同社はアメリカのGMO種子市場の90%を支配している。同社のラウンドアップ除草剤は、アメリカ、ヨーロッパ、南米、オーストラリアと南アフリカで、12000万ヘクタールを汚染している。同社の他のバイオ農薬は汚染を増大させる。

コーポレート・アカンタビリティー・インターナショナルは毎年調査を行っている。“皆様に最悪中の最悪企業を選んで、‘勝者’をアメリカ不名誉企業の殿堂に祀って頂きたい”とある。

2012年にはモンサントが選ばれた。同社は“有毒化学物質を大量生産し、積極的に小規模農場を破綻させ、(ヒトの健康を害する有害なGMO)種子をやたらに推進し、またもや、世界の食糧不足を悪化させている。”

フード & ウォーター・ワッチは言う。“モンサントの種子支配は農民、環境と世界経済を害している”。

同社の食料体制の勢力範囲は“侮り難い”。同社の種子は、トウモロコシの約86%と、大豆の約93%を占める。大半の加工食品にはそれが入っている。

モンサントはGMOを世界的に普及させたがっている。アメリカ政府は積極的にそれを推進している。国務省は、アグリビジネス・バイオテクノロジー大使として活動している。

国務省は、GMO普及を可能にすべく、各国政府にロビー活動し、圧力をかけている。国務省は巨大企業になりかわって広報活動をしている。国務省は食品安全の問題を無視している。国務省はGMO品質表示に反対している。

アメリカ大使館は積極的に関与している。フード & ウォーター・ワッチ国際政策部長ダーシー・オキャラハンが、リアル・ニューズ・ネットワークのインタビューを受けた。

彼女は926通の外交電報について話した。WikiLeaksがそれを公開した。電報は国務省による積極的なバイオテクノロジー推進を示していた。ごまかすような形で行われている。

GMO種子について虚偽の主張がなされている。各国政府は圧力を受けている。フード & ウォーター・ワッチの事務局長ウェノナ・オウターは語っている“アメリカ国務省は、民主主義ではなく、種子を売りこんでいます。巨大バイオテクノロジー企業になりかわって宣伝活動をしているのです。”

“国務省は、開発途上国にバイオテクノロジー作物を押しつけるために外交力を誇示すべきではありません”

“現在、アメリカ政府が、ヨーロッパや環太平洋の国々と密かに交渉している重要な通商協定は、懐疑的で、いやがっている国々に、バイオテクノロジー産品輸入の受け入れや、バイオテクノロジー作物の商品化を強いて、GE食品の品質表示を禁ずるものです。”

“この狂気は止めなければなりません。アメリカ政府は、巨大バイオテクノロジー種子企業の宣伝係になるべきではありません。”

ナショナル・ファミリー・ファーム・コアリション理事長ベン・バーケットは語る。

“維持可能な農業発展や食物の主権を求めて、開発途上国の圧倒的な人数の農民が、バイオテクノロジー作物を拒否しています。”

“高い種子や農薬を用いるバイオテクノロジー農業モデルは,農民に果てしない借金暮しを強いるものであり、経済的にも、環境的にも長続きしうるものではありません。”

オーガニック・コンシューマーズ・アソシエーションの事務局長ロニー・カミンズはこう語っている:

“モンサント、デュポン、シンジェンタ、バイエルやダウが、150億ドルの世界のバイオテク種子市場を維持、拡大したがるのは驚くべきことではありませんが、幾つかの国々の政府や国民が反対しているにもかかわらず、国務省がそうした大企業の狙いを支持して加担しているのには驚かされます。”

“アメリカの納税者のお金は、少数の巨大バイオテク企業の狙いを推進するために使われてはなりません”

フード&ウォーター・ウォッチは、安全で、入手しやすく、手頃な価格で、持続可能な形で生産されることを望んでいる。“行動を起こそう”同誌は呼びかけている。全員に自分達が何を食べているかを知る権利がある。

GMO食品と成分はヒトの健康に有害だ。ジェフリー・スミスの調査研究は、GMOを“有毒な、アレルギー反応、不妊症や、事実上、研究した実験動物のあらゆる内臓器官への損傷”と結びつけている。

モンサントや他の巨大バイオテク企業は各国政府を欺いている。連中はヒトの健康や環境の安全よりも利益を優先している。健康でありつづけるためには、そもそも有害な物質を食べないことだ。

独立した研究は注目すべき証拠を明らかにしている。GMOはヒトの健康に有害だ。モンサントは世界最大の種子生産者。同社の実績は無責任な振る舞いを示している。

スミス氏によれば、そうした振る舞いには“広範な賄賂、監督官庁乗っ取り、同社製品に関する否定的な情報の隠蔽。”

同社は、あえて、そういう事を報じるジャーナリストや科学者達を脅迫する。同社は、ずっと前から、信じられない会社であることを示してきた。

5月25日、世界中で何万人もが反モンサント行進をした。彼らは政府が国民に安全な食品を保証するよう要求している。彼らはGMOの品質表示を要求している。

アメリカでは今すぐにもとはいかない。5月23日、上院はそれを圧倒的多数で否決した。

農業法案修正案は、71対27で否決された。圧倒的多数のアメリカ人が品質表示を要求しているにもかかわらず、否決されたのだ。

人々には知る権利がある。消費者保護団体はそれを要求している。モンサントは欲しいものを入手している。アメリカ政府はそういう形で機能している)。

詐欺的ながん治療産業の利益は、悪質な科学と病気の根本にある原因の発見に目をつぶることによる、効果のない治療からもたらされている。

機械・エンジン製造業のキャタピラ社はヨーロッパやパレスチナで人々の暮らしを破壊している
http://www.sott.net/article/260296-Caterpillar-destroys-livelihoods-in-Europe-and-Palestine
(※参考:「兵器化されたブルドーザー」を売るキャタピラ社 2006/07/23
http://voicejapan2.heteml.jp/janjan/world/0607/0607228389/1.php
http://ipsnews.net/news.asp?idnews=33619
【ワシントンIPS=エマド・ミーケイ、6月14日】

 機械製造のグローバル巨大企業「キャタピラ」社が製造したイスラエル保有のブルドーザーに轢殺された米国のある平和活動家の両親が、6月14日、初めて同社と対決し、「兵器化されたブルドーザー」をイスラエルに売却しないように株主総会で訴えた。

 故レイチェル・コリーの両親、シンディさんとクレイグさんは、キャタピラ社にさらなる説明責任を求める決議案を提案したユダヤ教・キリスト教徒の機関投資家の代理人として、株主総会に出席した。

 娘を2003年に失ったシンディさんとクレイグさんを支援する活動家は、同社によるイスラエル軍へのブルドーザーの売却は企業の説明責任を果たすという約束に違反しており、このブルドーザーがパレスチナ人の家屋や農場を破壊するために使われるであろうことをキャタピラ社は十分に認識している、と主張している。

 シカゴで行われた株主総会の会場の外から電話インタビューに答えたマット・ゲインズさん(ストップCATキャンペーン)は、「私たちは、米国において企業の説明責任を求めてさらに拡大する運動の一部なのです」と語った。「私たちはいまだに努力していますが、この問題に関して米国政府に何らかの行動を取らせることは、とても難しいのです。しかし、私たちは、戦争犯罪に協賛し支援し後押しすることに関わる企業に、直接問題をぶつけることにしたのです」。

 キャタピラ社は、パレスチナ占領地においてイスラエル軍が行っている人権侵害に果たす役割に関して、出資引き上げ運動の対象になっている米国企業のシンボル的存在となっている。これまでキャタピラ社は、同社の製品が顧客によってどのように使われようとも製造元は責任をもたないと主張している。6月14日に取材を申し込んだところ、同社の広報からはすぐにコメントをもらえなかった。

 レイチェル・コリーは、2003年3月16日、「国際連帯運動」の他のメンバーたちとガザ地区においてパレスチナ人家屋の解体を防ごうとしている最中に、ラファという町で殺害された。

 ワシントン州オリンピア出身の23才の大学生だったコリーさんを轢き殺したのは、キャタピラ社が製造した9トンのブルドーザーであった。彼女の死は国際的なニュースになり、非難の声が広く上がった。イスラエルの裁判所はこの件に関してまだ誰も起訴していない。

 2005年の年商が360億ドルで、そのうち半分以上を海外事業から上げているキャタピラ社(本社:イリノイ州)は、イスラエル政府との取引によってどれほどの利益を上げているのかを開示することを拒んできた。

 1967年の戦争でイスラエルがアラブの土地を占領して以来、キャタピラ社のブルドーザーは5万人以上のパレスチナ人家屋を違法に破壊したと平和活動家は推定している。彼らによれば、この5年間だけでも、パレスチナ人の保有する100万本以上のオリーブの木を根こそぎにするのにキャタピラ社の道具が使われてきた。

 国連人権高等弁務官、アムネスティ・インターナショナル、ヒューマン・ライツ・ウォッチなどの国際人権機関・団体は、パレスチナ占領地における人権侵害の共犯として、幾度にもわたってキャタピラ社を名指ししてきた。

 しかし、米国長老派教会、世界教会評議会、英国国教会、スコットランド教会などのキリスト教機関投資家がもっぱら主導している出資引き上げ運動が、右派の親イスラエル集団とキャタピラ社にとってもっとも警戒すべき対象となっている。

 右派のシオニスト組織である「正確な中東報道を求める米国委員会」は、コリーさんをはじめとする平和活動家は、テロ容疑者や武器密輸者の掃討というイスラエル軍の任務を妨害している、と主張する。

 活動家たちは、これに対して、イスラエル軍は、家屋や道路だけではなく、テロ容疑者の隠れ場にとうていなり得ないオリーブの木や農場、さらには井戸すら破壊していると反論する。また、コリーさんの死に集まっている世間の注目を逸らそうとイスラエルが行ってきたいくつかの行為について指摘している。

 レイチェル・コリーの人生に焦点を当て、ロンドンで2度公演を成功させた演劇が、最近、ユダヤ人グループからの抗議により、「ニューヨーク・シアター・ワークショップ」において上演することができなくなってしまった。

 手紙と雑誌の記事から構成された、「私の名はレイチェル・コリー」と題されたこの演劇のシナリオ集は、米国の書店の棚からは回収され、わずかにしか手に入らない、と活動家たちはいう。

 コリーさんの両親は、娘の死に関して調査を行うよう国務省に要求したが、拒絶された。

 自称「クリスチャン・シオニスト」であり、米国「イスラエルの友・牧師会」(The Friends of Israel Minitry)の代表でもあるエルウッド・マクエイド氏は、保守紙『エルサレム・ポスト』に、企業の責任キャンペーンは左翼の陰謀だと書いている。「ここで問題となっていることは、道徳的正義の問題とは関係がない。だが、急進的で、リベラルで、左翼的な強迫観念とは大いに関係があるのだ」、とマクエイド氏は記している。

 しかし、こうした議論によって、キリスト教徒のグループが、キリスト教や道徳の観点からこの問題をさらに取り上げるのをやめることはなかった。アラバマ州バーミンガムでは激しい議論が続いている。ここでは、長老派総会に集った数千名の代表が、出資引き上げキャンペーンにおけるさらなるステップについて決定することになっている。

 クリスチャン・シオニストの集団は、出資引き上げは誤った方法であり、パレスチナ人とイスラエル人との間に友好的な関係を築くためにはより多くの投資が必要だと主張している。

 しかし、6月上旬、米国長老派教会中東部会は、積極的な投資戦略は建設的なものになりうるが、「イスラエル政府がパレスチナ人の財産を没収したりパレスチナ人の土地を接収したりするのを防ぐことはできない」との声明を発表した。

翻訳/=山口響/IPS Japan浅霧勝浩

※参考:反戦翻訳団−Antiwar Translation Brigade− 主として反戦運動にかかわる海外記事の翻訳紹介。2005年05月05日
【汝の敵を知れ:血痕の続く道】Nick Dearden and Joe Zacune , red pepper(2005/5)
http://blog.livedoor.jp/awtbrigade/archives/20964209.html
原文:KNOW YOUR ENEMY : Blood on the tracks
http://www.redpepper.org.uk/KYE/x-kye-May2005.htm
翻訳:203号系統

sandwichvisor-1 

War on WantのNick Dearden氏とJoe Zacune氏は、キャタピラー社の衣料不買を訴えている。パレスチナに於いて、同社製のブルドーザーが無差別殺人兵器として使用され続けてきたからである

 個々人の場合には許されないような活動を、複数の民間企業は数十年に渡って行ってきた。例えば、世界最大級の建設機械メーカーキャタピラー社(訳注1)を取り上げてみよう。(同社の2004年度の総売上高と総収入の合計は、300億ドル《1ドル105円として3兆1,500億円》を超えている。)キャタピラー社は、或るイスラエル国防軍( IDF )司令官に言わせるとパレスチナ不法占領の「主力兵器( key weapon )」を、イスラエル軍に対して供給している。これがD9ブルドーザーだ。それでは、実際のところIDFはD9をどの様に使っているのだろうか?国連によると、このブルドーザーを使って「農場・温室・オリーブの古樹・・・数え切れない程たくさんのパレスチナ人宅、そして時には人々の命」を破壊して来た。

D9-idf_pic214

イスラエルと占領地に於いてIDFは、約100輌のキャタピラー社製ブルドーザーを展開してきた。これを使って、過去4年間の間に4,000軒以上の家を更地に変えて10,000人以上を宿無しにして精神的打撃を与えつつ極貧の淵に追い落としてきた。これらの家屋破壊についてイスラエルは、テロリストと思しき人物たちに対する懲罰行為である、と主張している。斯様な懲罰が国際人権法に反していると云うことを別にしても、イスラエルの人権団体B’Tselemが最近発表した報告では、全ての家屋破壊の内で半分はテロリズムとは何の関係も無かったことが、明らかにされた。

キャタピラー社製ブルドーザーは、2002年の春にガザ回廊に対してIDFが仕掛けた大攻撃「守りの盾作戦( Operation Defensive Shield )」(訳注2)の重要な担い手であった。作戦期間中、D9はジェニンのハワシン地区の家屋を最後の一軒に至るまで完全に更地にする為に使われた。B’Tselemはこの出来事を、1967年以降のイスラエル―パレスチナで「最も広範囲で酷い」人権侵害である、と評している。多くの住人は家屋破壊の情報など聞いていなかった。生き埋めにされた人たちも居る。下半身不随の身であった38歳のJamal Suliman氏もその一人だ。彼の母親が言うには、「私たちがJamalを家の外に連れ出すためのたった一分ですら、ブルドーザーは待ってくれなかった。」(訳注3)

D9R-idf

ジェニンでの作戦完遂をIDFが如何に急いでいたかについては、当の兵士個人の証言によって明らかにされている(訳注4)。Moshe Nissimは、D9をつかった大虐殺の下手人の一人だ。彼は言う。「私は誰にも情けを掛けませんでした。D9で皆殺しにする積りでした・・・。一軒の家を破壊するよう命令を受けたと云うことは、私にとっては加えて何軒もの家々を崩してやる機会を得た、と云うことでした。」Nissimの部隊は傑出した成績を収めることになった。

しかしIDFの使うキャタピラー社製ブルドーザーによって殺されたのは、パレスチナ人だけではない。2003年3月ガザ回廊にて、合州国の平和活動家Rachel Corrieさんがパレスチナ人宅を護ろうとしてD9に轢かれたのだ(訳注5)。

キャタピラー社の最高経営責任者であるJim Owens自身がブルドーザーを駆ってこれらの国際法違反を犯しているわけではない。しかし彼は、現地で何が行われているのか全て知っている。実際、2004年4月に開かれた同社の年次株主総会に於いて、株主の一団が動議を提出している。同社自身の企業行動規範に従って、これらのブルドーザーの使用を差し止めることを「キャタピラー社の経営首脳部が甘んじて受け入れることが出来ないのか」どうなのか、彼らは問いただしたのだ。規範にはこうある。「生活の質の向上と地域の繁栄に寄与することこそ、我が社の成功である。と、確信して居る次第であります。」

「社の業績が向上しているのは、世界中で『善き行いを為している』こと故なのです。」とキャタピラー社は言っている。しかし、2004年5月に国連のJean Ziegler特別報告官はOwensに対して彼の憂慮を文書にて伝えている(訳注6)。即ち「パレスチナ人の食糧を得る権利」そして「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(国連人権規約A規約)」を破る行動に企業が共謀していることについてである。その時、Owensは返事すら出さなかった。

IsraeliBulldozers

 同社は、そのブルドーザーがアフガニスタンやイラクなどの軍事紛争地域に投入されていることを、公に宣伝している。そして、イスラエルに送り込まれている多くのブルドーザーの代金は実のところ、合州国政府によるイスラエル国防予算への実質的な寄付として、合州国の納税者が支払っているのだ。

今、国際開発援助団体War on Wantは、占領地での政策にキャタピラー社が関わっている限り同社の製品をボイコットするよう、呼びかけている。「4・13国際反キャタピラー・デイ」行動では、Corrieさんのお母さんと一緒に英国中を巡ってキャタピラー社製品を販売している商店軒先での抗議行動を展開した。Red Pepper読者には、今年にキャタピラー社のブルドーザーを購入しようと云う人は殆ど居ないだろうが、英国内の商店や百貨店ではキャタピラー社の革靴・帽子・Tシャツその他の衣料が販売されているのだ。例えば、Dolcis・Barratts・River Island・John LewisそしてSchuh等である。

しかし結局は、パレスチナでの民間企業による人権破壊加担を止めさせるのは、広告代理店が起草した自前の企業行動規範なんかでは無くて、経営首脳陣を律する国際法規制の仕組みだけであろう。

原注:【英国の大手流通業者にキャタピラー報告書を配布するCindy Corrieさん】WAR ON WANT

******

訳注1:ご参考。【ニュースリリース:新キャタピラー三菱 創立40周年記念式典を開催】新キャタピラー三菱株式会社(2003/11/4)

訳注2:ご参考。【「荒野の声」のジェニン報告】WAVE the FLAG
          【ジェニンで虐殺はあった】日本ビジュアルジャーナリスト協会(2002/8/10)
           【イスラエル/占領地域:パレスチナ人大量逮捕に調査委員会設置を】アムネスティ日本(2002/5/23)

訳注3:ご参考。【イスラエルと占領地域:イスラエル国防軍による戦争犯罪は調査されるべき】アムネスティ日本(2002/11/4)

訳注4:ご参考。【ジェニン大虐殺を直接遂行した兵士の証言】アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名運動(2002/6/18)

訳注5:ご参考。【写真集:イスラエルのブルドーザー操縦士がアメリカ人平和活動家を轢き殺した。】The Electronic Intifada(2003/3/16)

訳注6:ご参考。【国連からキャタピラー社へ:イスラエルにブルドーザーを販売することを止めよ。】CBC News(2004/6/16))。

(続く)
posted by たカシー at 11:51| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。