2017年02月05日

RTに「包囲攻撃」 西側諸国における言論の自由取締り強化で

SOTT パペットマスター

RTに「包囲攻撃」 西側諸国における言論の自由取締り強化で
https://sott.net/en340737

アレックス・ゴルカ
ストラテジック・カルチャー・ファウンデーション
2017年1月26日

(写真)
c Sputnik/Yevgeniy Biyatov

ロシアの国営メディア会社の1つであるRT(旧称:ロシア・トゥデイ)からフェイスブック(FB)内にあるRTページへのアクセスが、FBによって部分的にブロックされた。この禁止は、1月20日に行われたドナルド・トランプ次期大統領の就任式に合わせて行われる筈だった。AP通信社の製作したバラク・オバマの記者会見のストリームビデオが、1月18日にRTのFBページにアップされたことに対する著作権上のクレームが口実とされた。当初1月21日までとされていた禁止は、1月19日に解除された。RTはFB上でかなりの存在感があり、410万の「いいね!」を獲得している。

FBが、ユーザーに提供している画面上で、メディア媒体のコンテンツへのリンクをブロックしたのはこれが初めてである。他のいかなるニュース媒体も、こんな風にFBから懲らしめられることは無かった。

この事件は、大局的な構図からすれば、一部に過ぎなかった。FBが禁止を行った数時間後、他のソーシャルメディアのユーザーからも、RTのニュースが見れなくなっているという苦情が出ていると、RTが主張した。後にこれは修正された。ツイッターが一部の株式を保有しているニュースアラートサービスの「データマイナー」は、RTとの契約を打ち切った。RTはユーチューブから、RTの従業員の中に、アメリカによるウクライナをめぐる経済制裁の対象となっている者が居ないことを示すよう求められた。

どうやらRTは、包囲され総攻撃に遭っているようだ。アメリカのジャーナリストや大学教授で、RTのテレビ番組に出演したことのある人々はブラックリストに載せられている。
http://wallstreetonparade.com/2016/12/u-s-journalists-and-professors-appearing-on-rt-america-get-blacklisted/
昨年10月、ナショナル・ウエストミンスター(ナットウェスト)銀行はRTに対して、RTはもはや顧客には含まれないと通知した。この決定に関して、ナットウェスト銀行は何の説明も行わなかった。「ナットウェスト銀行は、RTがイギリスに持っていた全ての口座を閉鎖したわ。全てをね。『議論の余地なき決定』なのよ。言論の自由万歳だわ!」 RTの編集長であるマルガリータ・シモニャンはこうツイートした。

1月に発行されたアメリカの国家情報長官による報告書は、ロシアが行ったと言われるハッキングに関して、こう述べている。「RTは ― そしてまた、もう1つのロシア政府の国営プロパガンダ媒体であるSPUTNIKも ― 2016年の3月から、トランプ支持・クリントン反対の記事をアグレッシブに載せ始めた。これは偶然にも、民主党をターゲットとしたロシアによるハッキング・キャンペーンが始まったのと丁度同じ時期である」
http://www.motherjones.com/politics/2017/01/read-us-intelligence-report-russian-hacking-2016-campaign
この文書の著者は断言している。「2016年の大統領選の間、RTは数多くの奇妙で陰謀的な番組― ウィキリークスのジュリアン・アサンジが主役のものもあった ― を放送したが、それらの番組では、クリントンが汚職政治家であり、ISISから資金を提供されているとし、アメリカの投票システムは不正操作されていると述べられていた」

ソフト・パワー(※Wikipedia:国家が軍事力や経済力などの対外的な強制力によらず、その国の有する文化や政治的価値観、政策の魅力などに対する支持や理解、共感を得ることにより、国際社会からの信頼や、発言力を獲得し得る力のことである)
を政治的な目的のために活用しようという考え方は、西側諸国で称賛され、外交政策において欠かせぬ概念の1つとなった。
https://www.foreignaffairs.com/reviews/capsule-review/2004-05-01/soft-power-means-success-world-politics
言論の自由の保障は常に称賛されてきたのであり、それを否定しようとする試みは、常に糾弾されてきた。だが今や西側諸国は、独自の意見を提供しているロシアの媒体との戦いに敗れつつあり、流れを逆転させようとして、あからさまに圧力をかけることをはじめ、どんなことでもする覚悟なのだ。

RTは、世界じゅうのメディアのアジェンダを方向付けコントロールしようとする西側諸国の覇権主義的支配に挑戦しているのである。RTは爽快にも様々な視点を提供するので、西側諸国の視聴者に人気がある。RTの放送が「プロパガンダ」だと呼ばれるのは、単にそれが違う何かを語るからなのだ。

ニューヨーク大学メディア・文化・コミュニケーション学部の教授であるマーク・クリスピン・ミラーは、アメリカ・メディアは「恥」であり、出版/放送される紙誌/番組の質は「面食らうほど低い」と考える。
https://www.youtube.com/watch?v=IFPmUVU6eYE
彼に言わせれば、「我々のシステムは、ほんの一握りの巨大企業によって所有され、独占されているのだ」

RTは、独立不羈のジャーナリストや教授に対して詳細な議論を行う機会を提供してきたが、それらはしばしば、西側諸国のMSMが説く観方と矛盾するものである。アメリカとイギリスの「体制側」媒体が、イラクへの軍事介入論をどんな風に擁護したか覚えておられるだろうか?それが世の中というものである。政府は世論を形作るために、操作戦略を採用するものなのだ。

オルタナティブな情報ソースこそ、偏りのない見方を育む唯一の手段である。人はニュースソースを選ぶ権利を持っている。有益な洞察や情報は、様々な媒体があってこそ得られようし、RTはそんな1つなのである。

これまでのところ、RTは攻撃をかわしてきた。ソーシャルネットワークを含む広範な支援を得てきたのだ。AP通信は、バラク・オバマ大統領の退任演説の海賊版ストリームビデオを流したといってRTを表立っては糾弾していない。何ごとも表立っては語られていないのだ。FBは、どうしてアカウント制限を行ったかについての説明を、RTに回答していない。経済制裁を受けているRT従業員に関してのユーチューブの要求は、政治的な動機によるものだと言われる。だが、これで終わりではない。西側諸国が守ると誓ってきた、まさにその価値を脅かす圧力は一層強まるだろう。

例えば、アメリカにおける人権をめぐる状況は、独立メディアがこの問題に取り組むぐらい深刻に懸念されている。例えば、元経済政策担当財務長官補佐のポール・クレイグ・ロバーツは、ひるむことのない、率直な発言のせいで、ロシアの工作員だとして糾弾されたため、ロシアにパスポートを発行してくれるよう求めた。
https://www.rt.com/op-edge/368700-dear-president-putin-russian-passport/
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2016/12/post-840a.html
とりわけ、RTに出演した際のロバート氏は、大胆にも上院議員のバーニー・サンダース大統領候補支持を表明していた。
https://youtu.be/YvHVDes3lR8?t=4m7s

情報戦争が仕掛けられているというのが、多くの人々の見解である。しかし、戦争ですら順守すべき法律があるのに、RTは掟無き戦いのさなかに居るようだ。


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SOTT編集部コメント:参考記事:
グーグル、「偽ニュース」取締りで200サイトを永久追放
https://www.sott.net/article/340693-Google-cracks-down-on-fake-news-by-permanently-banning-200-sites
またもや偽ニュース!ワシントンポスト、トランプがCIAの「秘密収容施設を復活させる」という話をでっち上げ
https://www.sott.net/article/340701-More-Fake-News-WaPo-makes-up-story-about-Trump-reinstating-CIA-black-sites
ドイツ、反トランプ運動が嵩じてポピュリストによる感情的な言葉を検閲する「真理省」設置か
https://www.sott.net/article/340700-German-anti-Trump-activism-results-in-Ministry-of-Truth-to-censor-populist-sentiments
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2017年02月06日

米国務省の高官チーム、揃って辞任

SOTT パペットマスター


米国務省の高官チーム、揃って辞任
https://sott.net/en340773


タイラー・ダーデン
ゼロ・ヘッジ
2017年1月26日

(アメリカ国務省の写真)
c Wikipedia

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SOTT編集部コメント:
ウクライナの「独立広場」でアメリカの支援によるクーデターを起こし、リビアを壊滅させて指導者カダフィーを殺し、数十万のシリア国民を虐殺してISISを生み出した人々がみな辞任したというのだ。これが良い事でない訳があろうか?
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アメリカ国務省の全体がいかにイデオロギー的にオバマ政権と軌を一にしていたかを示すかのように、ワシントンポストはたった今、次のように報じた。「25日、国務省の高官チームが揃って辞任した。トランプ時代に官職に留まりたくない国務省外交局高官たちの大量流出が続いている」

25日に、フォギーボトムにある国務省本庁で、レックス・ティラーソン新国務長官が会議に参加して新任地の状況を探り始めるや、大量辞任が起こった。

ワシントンポストのジョシュ・ロギンは、突如として彼の情報ソースである国務省の高官たちが残らず居なくなってしまったと述べている:


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25日の朝私は、トランプ・チームはナンバー2候補を絞り込んでおり、国務省で次官を長く務めたパトリック・ケネディーを交替させようとしている、と報じた。9年間この職にあったケネディーは、政権移行に積極的に関わっており、ティラーソンの下でもこの職に留まろうと画策していたという風に、3人の国務省官僚から私は聞いていた。

それが25日の午後になって突然、ケネディーおよび、3人の高官が思いがけないことに辞任したと4人の国務省官僚が確言した。ジョイス・バー次官補(行政担当)、ミシェル・ボンド次官補(領事業務担当)、ジェントリー・スミス外交使節室長が、ケネディーに続いて辞表を出した。4人はともに、共和党政権および民主党政権で、外交局に勤めてきた国務省生え抜きのキャリア外交官だ。
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その他にも、「1月20日には外交安全問題を担当したグレゴリー・スター次官補も辞任しているし、海外建築管理局長リディア・ミュニズも同じ日に辞任している。国務省外交局の高官たちがほぼ一新されることになる」


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「国務省という組織について長年の経験から知識と記憶を併せ持つベテランが、これほど一度に辞めてしまうのは前例がない」とジョン・ケリー前長官の下で首席補佐官を務めたデイビッド・ウェイド氏は語る。「特に、安全保障や管理、領事の専門職はなかなか代わりが効かないし、民間セクターから見つけるのは殊更難しい」
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http://www.bbc.com/japanese/38766899


これだけではない:国務省の地方事務所で務めていた外交局の高官たちの何人かも、大統領選の後、異動したり辞任したりしているのだ。だが、管理部門の局長クラスの不在による空白の方が、より混乱の原因となる。というのも、このような部局は、当該部局をよく知り、複雑な官僚機構を動かした経験のある人々による統率が必要だからだ。民間セクターから代わりを見つけてくるような安易な方法では無理だ、とウェイド氏は述べる。


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「外交安全局や領事官職は単なる外局ではなく、問題が起きればすぐに生死に関わる事態に発展する、このような領域では、習熟曲線に従って経験を積ませる時間的余裕が必要だ」と彼は言う。「身体で覚えた記憶が大事だ。この人達の辞任は大きな損失だ。空白ができてしまった。彼らは余人をもって代えがたい人たちなのだ」

ケネディーが、彼の意向にそって留任されるか、トランプ政権チームによって排除されるかは、省内でも見方が分かれていた。辞任前の日々、ケネディーは国務省を代表して、政権移行に密接に関わっていた。彼の辞任は、国務省の同僚たちにとっても驚きだった。
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ロギン記者はこう結ぶ:国務省の高官たちが突然揃って辞任したのは、それ自体、混乱を招くことだ。だが、選挙期間中に、アメリカ外交政策を司る上層部を非難していた大統領と、エクソンモービル前会長で政府で働いた経験がない国務長官が誕生するという事情が背景にあるのだから、高官たちの不在による空白は一層懸念される」

逆に、ティラーソンが本当にまっさらな状態を望んだのなら、彼はそれを手に入れたのである。
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2017年02月09日

スティーブ・バノン − トランプのホワイトハウスでの最高実力者

SOTT パペットマスター


スティーブ・バノン − トランプのホワイトハウスでの最高実力者
https://sott.net/en341556


デイビッド・フォン・ドレル
タイム
2017年2月2日

c Andrew Harnik−AP
(写真1枚目のキャプション)
1月28日、大統領執務室内を歩き回るバノン(右から2人目)。トランプ大統領はウラジーミル・プーチン露大統領と電話で話している

現代の大統領の殆どは、序盤の指し手の計画を立てるにあたり、友好な関係にあるシンクタンクの助けを借り、あるいは、長年抱いてきた信念を拠り所にする。

ドナルド・トランプの最初の一歩はあたかも、彼の首席戦略官で分身であるスティーブン・K・バノンが製作したドキュメンタリー映画という感じだ。映画監督のジョン・フォードがロケ地にモニュメント・バレーを選んだのと同じくらい、バノン監督には飢えたサメや吠える竜巻、あるいはキノコ雲がよく似合う。

トランプ政権は混乱の幕開けとなったが、これはトランプが約束していた通りであり、計画したのはバノンだ。これに応じて、政府内外の多くの人々が抵抗している。これはおそらく驚くべきことではないのだろう。トランプは国民に対して去年のうちから何度も、自分の施政はありふれたものではないと言っていたのだから。やり手の大統領になるべく、選挙戦をスタートさせた彼は、運動の指導者として自ら前面に立つようになった― だが、兵站なくして達成される運動はない。バノンこそが政策を純粋に保つ献身的な支持者である。彼がトランプの側近を務めるのは、カネや地位のためではない。歴史を変えるためなのだ。「我々が今、目の当たりにしているのは、新しい政界秩序の誕生なんだ」と、バノンはワシントンポスト宛てのメールで述べている。

この強力な側近の存在は、既にホワイトハウス内に亀裂を生じさせている。政権発足から1週間そこそこの1月27日の夜遅く ― 関係部局長や議会指導者、マスコミには(殆ど)何の説明もないまま ―、トランプは120日間、難民受け入れプログラムを停止し(シリア難民の場合は無期限)、イスラム教7カ国からの入国を禁じた。そのほぼ直後にアメリカの税関と国境警察官は大統領令の対象となった航空路の旅客を引き止め始めた。この中には、もっと早い便を取っていれば、入国が可能だった、有効なグリーンカード(永住ビザ)を持つ100人以上の人々も含まれていた。アメリカじゅうの空港に、ボール紙にマジックで抗議の言葉を書いた人々が殺到、何千という人々の姿がテレビに映し出された。

抗議の嵐がホワイトハウスの門前に迫った翌28日、ホワイトハウスの上級職員の多くは、年に1度秘密裏に行われるアルファルファクラブの夕食会に参加するため出払っていた。政治屋が億万長者と、正装で共に飲んだり、冗談を言ったりするオフレコの夜会である。だがバノンは、彼が廃止すべきだと考えている、このエリートたちの会合を避け、衝撃と畏怖を続けさせるべくホワイトハウスに留まっていた。

既に陰鬱で冷酷な内容の就任演説の起草と、難民入国禁止の発令を手伝い終えていたバノンは、自らを国家安全保障会議(NSC)に招聘するようネゴすることで、この組織をあっと言わせる方へと進んだ。突如として至る所、彼の指紋だらけとなった:1月30日にトランプは、国家的メディアは「反対野党」だとツイートしたが、これは数日前にバノンがニューヨークタイムズに語った時の言葉を繰り返したものだった。

(写真2枚目)

一度に大統領になれるのは1人だけであり、ドナルド・トランプは官職を譲った訳ではない。だが、政権発足以来数日の、太った皺だらけのバノン(ホワイトハウスで、ネクタイとスーツを身に着けずにトランプ氏の執務室に入ることができる唯一の男性側近)は、
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2017/02/04/kiji/20170204s00042000055000c.html
思い出せる限り、これまでのどの側近スタッフよりも影響力を行使できる才能を持っている。彼の同僚たちはバノンを「百科事典」のあだ名で呼ぶ。彼の頭の中の情報の幅広さのためだ;だが、それよりも何よりも、バノンはトランプとマインドメルドが出来るのだ。
http://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=2590126&id=79769349
2人の結び付きについて、「彼らはどちらも、本当に偉大な語り部よ」と大統領顧問/カウンセラーのケリーアン・コンウェイは述べる。「大統領とバノンには、知識を吸収し、結果を考えるという共通の特質があるの」

彼らは、話好きで、厚かましく、喧嘩っ早くて、カネを惹き付けるという経験も共有しているが、エリ−トにはいまひとつ相応しくないものだ。民主党支持の家系に生まれながら、自分の意志で共和党を選んだバノンは、どちらの党も相当程度に堕落していると見做すようになったが、このような信念から近年は、論争を巻き起こす映画の製作者や物議を醸すニュースサイトの運営者というキャリアを築くことになった。私人としてのバノンにパーティーで会ったことがあるという人物は、その時の様子を思い出してこう述べる。「バノンは私に、『自分はレーニンみたいなものだ。こんにちの支配者層の全員を打ち倒し、破滅させてやりたいんだよ』と言ったのです」

辿り着くまでの道は違ったものの、バノンとトランプは、貿易や移住、公安、環境、政治腐敗等々の問題に関して思想的に同じ目標を持っていることに気付いたのだ。

それにしても政権発足から10日間のバノンの傑出ぶり ― そして、彼の破壊的なお家芸である、混乱と無秩序に満ちた場面の数々 ― は、ホワイトハウスを狼狽させたし、おそらくは大統領さえもが仰天したのではないだろうか。政府高官によれば、トランプは彼をキビキビと諌めてくれる重要なアドバイザーを6人程召喚しているという。全ての案件は、トランプの指示を仰ぐ首席補佐官のラインス・プリーバスを通される。次席補佐官のケイティ・ウォルシュがスケジューリングしなければ、何ごとも進まない。「いずれ、おそらくもっとゆっくりとした、審議を経るプロセスが見られるようになるだろう」とある官僚はタイムに語った。

それでもバノンは、大切なワシントンの流儀を保っている:大統領執務室にアポなしで入って行ける特権だ。そして彼こそは、トランプを勝利に招くメッセージに集中させることが実にうまい人物なのだ。他のアドバイザーたちがトランプを変えようとしてきたのに対して、バノンはトランプにスピードを上げるよう勧めてきたのである。

秩序正しいオフィスと名誉ある改革運動という、これらのイメージはいずれも、大統領にとって真に魅力的なものだ。これらはおそらくトランプを反対の方向に引っ張り続けることだろう。トランプ就任したての日々をとても活発なものとして際立たせることで、バノンは、トランプが分断者であるというイメージを強調した。その意味では、ある老練な共和党員が言ったように、「既に勝負はあった。バノンが勝ったのだ」と言えよう。

c Chip Somodevilla−Getty Images
(写真3枚目のキャプション)
2017年1月31日にホワイトハウスのルーズベルト・ルームで行われた、政府のサイバーセキュリティー専門家との打ち合わせを始めるにあたり、ドナルド・トランプ大統領の話に耳を傾ける首席戦略官スティーブ・バノン

ドナルド・トランプお気に入りの著書である『トランプ自伝: 不動産王にビジネスを学ぶ』をじっくり読んだことのある人はお気付きだろうが、彼はスタンドプレーやたわいない会話、大言壮語や論争を、成功を追求する上で有益な要因と見ている。「私が取引を決定するスタイルは極めてシンプルかつ率直なものだ」と彼はこの著書で宣言している。「私はとても高いところに狙いをつけ、狙ったものを手に入れるべく、押して押して押しまくるんだ」

アメリカじゅうどこを探しても、おそらくワシントンぐらい頑として押しに耐える地域はないだろう。しかしトランプは、一つには今が普通の時期ではないと理解することによって大統領選に勝った。テクノロジーは殆ど全てのアメリカ人の手のひらの中に、コミュニケーション革命の成果を送り届けた。これがグローバル化した経済による経済的落胆と一緒になったときに生まれるパワーは、新たなポピュリズムを解き放つ。人類の歴史において、良いものであれ、悪いものであれ、グループを組織することや、真実と嘘をコミュニケートすること、当局に質問して当局による回答を批判することは今ほど容易ではなかった。トランプは増大しつつある、このパワーを、伝統的なパワーの番人たち ― メディア、政党、公選された/されないボスたち ― を出し抜くことで活用したのである。

オンラインニュースサイトである「ブライトバート」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%88%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF
における経歴は、バノンに同様の教訓をもたらした。今は亡きアンドリュー・ブライトバートによって、MSMに対するオルタナティブとして創設されたこのニュースサイトは、たちまちアメリカの政界における破壊力となった。アンソニー・ウィーナーに訊いてみたまえ。2011年、ニューヨーク州選出のこの連邦下院議員は、大志を抱いた民主党の草の根政治家だった。するとブライトバートは、ウィーナーのツイッターフィードからのスクリーン画像を公開したのだが、これがきっかけとなって、彼の深夜のセクスティング癖が暴かれることとなったのだ。あとはソーシャルメディアがやってくれたのである。創設者が2012年に急死したため、友人であるバノンが指揮を執ることになった。ブライトバートがビデオやラジオ、マーチャンダイジングへと急成長し、いくつかの海外支局を開設するにつれて、このサイトは扇動的な見出しに磨きをかけ、いわゆるオルタナ右翼の政治ごろの拠り所となって行ったのだが、そのような人々の中には、白人至上主義という忌まわしい理想を懸命に称揚する者たちも居た。

このような雰囲気はバノンがブライトバートを引き継いだ、デビューの頃に撮影されて、ウイルスのように広まったビデオから窺い知ることが出来る。古風な作風のビデオで、賢いナレーターが、ミツアナグマという、ひたむきに捕食を行う獣についてコメントしている。蜂に刺されようが、ヘビに噛まれようが、この動物は決して獲物を殺して食べるのを止めないのだ。「ミツアナグマは屁とも思わない」とナレーターは締め括る。バノンはこのフレーズをモットーに採用した。

c Seth Poppel/Yearbook Library
(写真4枚目のキャプション)
バーモント州リッチモンドにあるベネディクティン・ハイスクールの卒業アルバムからのスティーブ・バノンの写真。1972年

ワシントンの役人たち及び世界じゅうの同様の官職にある人々は、このミツアナグマたちが今現在どの程度主導権を握っているのか理解しようと躍起になっている。このアナグマたちが変革に飢えていて、― 他国の指導者やダボス会議の常連は言うに及ばず ― 専門家や議員、ロビイスト、篤志家の群れに刺されても気にしないことは疑問の余地がない。実際、彼らはそれが気に入っているように見える。

首都は入国禁止令をめぐって興奮状態にあり、共和党からも民主党からも非難ごうごうである。トランプの政策アナグマでバノンに同調しているステファン・ミラーが、穏やかにカメラの前に歩み出た時、彼がトランプ政権のスタッフを辞任するのではないかとの噂が渦巻いた。「機能不全となった正統的な制度に挑戦する施策を何か行って大成功を納めたときは、いつだって抗議が起こるものだ」と彼はCBSニュースに語った。
http://fortune.com/fortune500/cbs-203/
「実際、不賛成者も出ないような施策では、物事のあり方にとって重要なことをやったことにはおそらくならないだろう」

ほぼあらゆる方向から自信を喪失させるような非難を浴びているトランプは普通なら姿勢を和らげるだろう。アナグマではないのだ。だがこの国には、過激な中間層が数多く存在していて、トランプが大統領選に勝ったのだ。激怒したエリートたちの金切り声を歓迎する人々も多い。カンザスシティーのあるビジネスマンは大喜びでこう語る。「彼は正しい人たちみんなを狼狽させているんだ」

バノンに手伝われてトランプは思い出した。自分はジョージ・W・ブッシュがやったように統合者であることを優先しないし、バラク・オバマのようなやり方で分断を修復する提案もしないのだと。新大統領は「忘れられた人たち」の擁護者としてのイメージを入念に作り上げようとしているが、皆さんご存知の有名人たちを念頭に置いたものだ。新たな目標を設定してこそ新しい発想は浮かぶ。「物事を行うにはいつだって決まったやり方がある、と人々は言う」とは、トランプに信頼されている、ある側近の言葉だ。「我々はこう言う。『そうだね。でも、その結果を見てみたまえ。うまく行ってないんだ。我々は新しいやり方を試しているんだよ」

トランプもバノンもこれに同意する。だが、ここで謎が生じる。ビジネスマンとしての長い経歴を持つトランプは、常に混乱を狙うが、最終的な目標は握手することである:取引だ。これに対して映画やラジオショーでのバノンからは、もっと終末論的な性向が窺われる。

2000年代初頭のある時期バノンは、世代論者のウィリアム・ストラウスとニール・ハウの書いた『第4の曲がり角』という本
https://www.youtube.com/watch?v=qmg9DxpDfuI
に魅了された。この本によれば、アメリカの歴史は、4段階サイクルの繰り返しなのだという。ある世代が危機に陥ると、次の世代が制度を採用し、その次の世代が制度に反旗を翻す。すると、次の世代は過去の教訓を忘れてしまい、その次にはまた危機が訪れるのだ。1サイクルは大体80年で、独立戦争(1775-1783年)の時期から南北戦争(1861-1865年)期、その次は第2次世界大戦(1939-1945年)期が80年のサイクルを成していると、バノンは指摘する。第4段階の転換期において、制度は破壊され定め直されるのである。

タイムとのインタビューで著者のハウは、10年以上前に、この本を原作とした映画を作らないかと、バノンから打診されたことを思い出している。最終的にこれは、2010年にリリースされた『ジェネレーション・ゼロ』につながった。
http://kurokiyorikage.doorblog.jp/archives/68603754.html
この映画でバノンは、2008年の金融危機を転換期の兆候になぞらえている。ハウはこの分析に、部分的に同意している。どのサイクルでも危機後の世代が出てくる。今回はベビーブーマー世代がそうで、ついにはこの中から、「前回の危機の記憶を持たないリーダーたちが出て来るのだが、このリーダーたちがいつものように、次の危機へと社会を導くのだ」とハウは言う。

バノンはかつて、「庶民の守護聖人」と称していたぐらいで、歴史的な極めて差し迫った危急時=世界の転換期に、国家的な政治イベントを起こして、古い秩序を一掃し、新しいものを打ち立てて楽しんでいるのだろうと思われた。ジェネレーション・ゼロでは、歴史家のデイビット・カイザーがフィーチャーされているのだが、カイザーの記憶では、映画の中でバノンからインタビューを受けた際、バノンは楽しそうにやり取りに夢中になっていたという。

しかし、歴史の現フェーズは、来たるべき大戦争の予兆であるとバノンが論じ始めた時、カイザーはギョッとしたものだと、タイムに語った。「彼がこう言ったのを覚えています。『ご覧なさい。独立戦争があって、その後南北戦争がありましたが、それは独立戦争より大規模なものでした。その次が第2次世界大戦ですが、これは南北戦争より大規模だったのです』」とカイザー。「彼は映画の中で私にそう言わせようとすらしたのですが、私はその気になれませんでした」

ハウもまた、バノンの「今後のアメリカについてのかなり深刻な展望」には衝撃を受けていた。バノンは自分のラジオショーの中で繰り返し、世界の至る所で、「私たちは過激なジハーディストと戦争しているのだ」と述べている。これは「世界的な存亡をかけた戦い」であり、「中東では再び、大規模な武力戦争」に発展するだろう。中国との戦争も迫っている、とも彼は述べている。このような確信は、ブライトバートのミッションの骨格を成している。2015年11月に、彼はこう説明していた:「我々の大きな信念=当サイトの中心的な組織化原理は、私たちが戦争中であるということだ」

スティーブ・バノンを理解するには、彼の父親に起きた出来事を理解する必要がある。「私は、ブルーカラーの、アイルランド・カトリックを信仰し、ケネディーと組合活動と民主党を支持する家庭の出だ」と、彼は以前、ブルームバーグ・ビジネスウィークに語った。父のマーチン・バノンは最初、電話会社のアシスタント中継手に就職し、その後架線作業員として苦労を重ねた。マネジメント層に昇格した父バノンは働いて得た給料で妻と5人の子供たちから成る快適な中流生活を手に入れた。友人たちによれば、バノンは頻繁に、リッチモンドのジンター・パークにほど近い実家に住む、現在95歳となり妻に先立たれた父親を訪れるという。

前回の金融危機は、父マーチンの老後の蓄えに大打撃を与えた、と一家に近しい人々は言う。バノンは、ゴールドマン・サックス時代のウォールストリートで働くかつての同僚たちに怒りの目を向ける。彼らはほとんど無傷で、支払いを免れて再浮上したが、彼の父親のような、かつては偉大だったアメリカの中間層が、ダメージを吸収させられたのである。

「急激な変化が起きたのは2008年のことだったと思う」と語るのは、元共和党バージニア州責任者で家族との古くからの友人であるパトリック・マクスイニーだ。バノンはこれを「根本的な不公平」の問題として見ていた:彼の父親のような勤勉な人たちが疲弊してしまったのだ。しかも銀行家たちは救われたのである。

この時までバノンは、彼が後に言っているように、「これ以上はないというくらい頑固な資本主義者」だった。1953年生まれのバノンは、バージニア工科大学では学生自治会長だったが、2015年のインタビューでブルームバーグのジョシュア・グリーンに説明しているように、海軍に入隊するまでは政治に対して特に関心がなかった。「私は入隊するまでは政治的な人間じゃなかったんだが、そうしてみていかにジミー・カーターが物事を台無しにしているか分かったんだ。私はレーガンの大ファンになったよ」と彼は言う。「だが、私が支配者層全体に背を向けるきっかけになったのは2008年にアジアで経営していた会社から戻って来て、ブッシュがカーターと同じくらいひどいことをしているのを見たことだった。国じゅうが災難に遭っていたんだ」

海軍士官を7年務めた後、バノンはジョージタウン大学で国防学の修士号を取得、続いて、ハーバード・ビジネス・スクールで経営学修士号(MBA)を取得した。その後、大手証券会社であるゴールドマン・サックスに勤務したが、そこで彼が目にしたのは危険を回避するパートナーシップの退屈な文化が、他人のカネを危険にさらすギャンブラーたちによるおおっぴらなカジノ取引へと変じる様子だったと言う。
http://fortune.com/fortune500/goldman-sachs-group-74/
彼は証券会社を辞め、ビバリーヒルズに娯楽の専門商社を興した。彼は一時期、軍艦のビデオゲーム・プレイヤー向けのVRグッズ販売にも手を出した。彼のパートナーだったスコット・フォースはタイムに対して、フォース自身は理論より実践を重んじるタイプだったのに対して、バノンは既存の枠にとらわれない考え方をする推進役だったと語った。「アグレッシブさが全てだった」とフォースは言う。「バノンは決して嫌とは言わせない性格なんだ。彼はスポンジのように知識を吸収する。とても聡明だし、人の話をよく聞く。彼は戦略家で、大体3、4歩先を行ってるんだ」

この小さな会社は大手の顧客を獲得しており、その中には、サムスンやMGM、さらにはイタリアのトランプと言うべき、後に首相となった億万長者、シルヴィオ・ベルルスコーニも含まれていた。だがバノンの最大の成功はすぐには訪れなかった。1993年、CATV界の大御所であるテッド・ターナーは、キャッスル・ロック・エンターテインメントを買収したのだが、仲介をしたのがバノンであり、バノンがこの途方もない話をもちかけた時は、ギリギリになってターナーが銀行に対して投資するようせがんだのだ。現金の他にも、バノン商会はキャッスル・ロックのTVショーを5つ手に入れた ― その1つが、国民的ドタバタコメディ『となりのサインフェルド』である。

その一方でバノンは、アリゾナ州の砂漠に作られた人工生態系「バイオスフィア2」での問題含みの実験を運営するという、普通でない回り道をしながらも、徐々に仲介者から映画製作者の道へと進んで行った。1999年、彼は『ティトゥス』という映画の共同製作責任者を務めた。シェークスピアの戯曲を翻案した、スター揃いの映画だったが、これは不発に終わった。ドキュメンタリーに転じたバノンは、自ら脚本と監督を手掛けるようになった。「右翼のマイケル・ムーア」となった彼は、ロナルド・レーガンやサラ・ペイリン、ミシェル・バックマンを称賛する映画を撮った。

ミネソタ州選出の上院議員だったバックマンはバノンについて、MSMには見ることが出来ず、見ようともしないものを見ることができる人物だと語る。アメリカでは東海岸のエリートに対する嫌悪感が募っており、「トランプが国民を忘れられた人々と呼んだグロテスクな風刺演説」通りにエリートたちが解任されているのだとバックマンは言う。「バノンはただ、国民に声と演壇を与えようとしただけなのよ。単に無視されただけでなく、MSMから嘘をつかれてきた人々にね」

バノンの人生は、政治や金融、文化といったあらゆる種類のエリートに対する改革運動となった。バノンの思想的変化は、彼の服装に表れている:彼のお気に入りの恰好であるTシャツに半ズボン、無精ひげを見たら、ゴールドマン・サックスに務めていたとは誰も思わないだろう。

バノンと袂を分かった、数多くの元ブライトバートのスタッフたちは、バノンが気性の激しい人間だと言う。バノンの友人で、共和党顧問のジョン・パドナーは、短期間、ブライトバートのスポーツコーナーの編集者として働いていたことがあるが、当時を思い出してこう語る。「バノンは私を叱りつけた」その数時間後、バノンは機嫌を直し、パドナーに割のいい仕事を世話したという。「彼は猛烈に非難してきながら、同時に称賛してくるんだ」


誰もがバノンに対して寛大な訳ではない。「彼は法律こそ犯さないものの、私が相手にした中でも最悪の人間だ」と、ブライトバートの編集者だったベン・シャピロは去年タイムに対して語っている。「彼はいつでも人々を罵っている。何ごとも戦いと見なしてるんだ。妨害されたと感じるたびに、必ず相手を破滅させるんだよ」。元ブライトバート従業員で、保守系コメンテーターのダナ・ローズチも同じような感情を抱いたと述べている。「神の作り給うた緑の地球上で最悪の人物の1人よ」と、彼女は自身のラジオショーで去年言っていた。バノンは1996年に、元妻と口論になった末DVをはたらいた廉で告発されたが、彼女がバノンに不利な証言を拒んだため、彼は不起訴となった。後に彼女は法的文書の中でこう主張している。すなわちバノンは、娘たちのために私立学校に対して異議を述べたのだが、その理由は、学校に多くのユダヤ人生徒が居て、「不機嫌なガキ」に育って行く様子が嫌いだからなのだ。バノンがこれらの主張を否定したので、タイムが本件に対するコメントを求めたところ、ホワイトハウスの広報を通して断ってきた。

トランプの中にバノンは、自分と同じ、究極のアウトサイダーとしての特質を見出した。バノンは大統領候補だったトランプを彼のラジオショーに度々出演させており、元スタッフたちは、トランプを支持する物語を、バノンが定期的に流し続けるよう命じたと言っている。今やバノンがトランプに刷り込んだ内容は、ホワイトハウスの重要なポジションに元ブライトバートのスタッフを雇うということから、大統領の机の傍に飾るのに、アンドリュー・ジャクソン  ― バノンが崇拝する人物の1人 ―  の肖像画を選ぶことに至るまで、大統領の決定に影響を及ぼしている。

「バノンが真に本能を発揮するのは政策面においてだ」と、トランプの昔からの支持者の1人は言う。どんな政策だろうか?「全部だよ。バノンはトランプの世話役なんだ」。トランプのホワイトハウスでは、大統領が持たせたいと思うだけのパワーを人は手に入れ、保つことができると、このアドバイザーは言う。だが、トランプとバノンは、「大統領選の前に、一緒に座り、彼らが大統領執務室ですぐに行いたいことのリストを作ったんだ」とアドバイザー氏。トランプはどのアイテムに印を付けるか決める方だった。「バノンは賢いから、トランプにリストを与えたんだ」

破壊的なトランプがどれだけ支配層エリートの激怒を買うことを喜ぼうと、彼の焼き畑農業スタイルはホワイトハウス内に緊張を生み出した。トランプは首席補佐官のプリーバスに対して、これからは、もっと指揮系統を強化し、コミュニケーションを活発にするよう命じたと、上級スタッフは言う。大統領顧問/カウンセラーのケリーアン・コンウェイは、ホワイトハウスから、政策/法律立案作業者に対する連絡を行う役割を強化する計画に同意した。

この数週間における政権内部の苦悩は、明らかに心配の種だ。政権関係者によれば、入国禁止令を大急ぎで出すという決定は、関係文書を回覧していたNSCの専門スタッフがプレスにリークしようとしていることに気付いたバノンとステファン・ミラーが、比較的秘密のプロセスに従って行ったものだという。バノンとミラーは、今回の大統領令のメモ/原案に目を通す人数を減らす方向で動いた。議員、そして閣僚ですら蚊帳の外に置かれ、あるいは、原案へのアクセスを厳しく制限された。

結局、賛否両論の中、入国禁止令はサインされ、大混乱が起きたのだと、この関係者は言う。有効なグリーンカード(永住ビザ)でアメリカに入国しようとしている人々の数は未確定である。最初にホワイトハウスが行った指導は、この人々全員も引き返すべきだというものだった。だが、入国や市民的自由を専門とする弁護士たちが、大統領令に異議を申し立てようと連邦裁判所に大挙して押しかけたため、ホワイトハウスも前言を撤回し、グリーンカードを持つ人々は禁止を免除されるとの声明を出した。レポーターたちは、入国が禁じられる出立国の名前のような基本的な事実ですら調べるのに苦労した。数日後には、大統領までもが、バノンをNSCの常任メンバーに任命する命令を修正するよう介入した。トランプは、CIA長官のマイク・ポンペオもそこに加えたかったのだ。

入国禁止令が出されてから4日後の1月31日の夜には、ホワイトハウスは通常の姿勢を見せようとしていた。トランプはゴールデンアワーのニュースで、最初の最高裁判事にコロラド出身の保守的なニール・ゴーサッチを指名したアナウンスが流れるよう画策した。だが、もしトランプ政権がついに堅実さを示したのなら、きっとバノンが追放されたということではないだろう。

大統領はまたしても軌道修正を行った。だが、彼の中心的な、ポピュリスト的メッセージと方法=バノンとの会話で生まれたそれは残ったままだ。忘れられた人々のための戦いにおいて、混乱は悪い事ではない ― より深い思慮と最終仕上げを伴って行われることは必要だが。

支配者層を解体し、それを指揮しようとしての悶着は、トランプが政権の座にある限り続くことだろう。それは、内部で目覚めたアウトサイダーなら誰もが直面する矛盾だ。トランプが物語を紡いだ大統領選挙戦の全体は、ダビデとゴリアテの対決だと、ある政権高官は述べる。だが、今やダビデは王となったのだ。「ダビデはゴリアテに投石器で石を放ったが、記者会見を開いたり、大統領令にサインしたりしなかった。我々がここで行っていることは必ずしもそう早く進みもしなければ、見事に解き放たれもしないのだ」
posted by たカシー at 06:12| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする